3年にも及ぶというこのドキュメンタリーは「ラハディマ」と名付けられたヒョウの子(雌)が幼い頃から成長し親離れの後の独り立ちするまでの生活を撮り続けたもの。
これには不思議な展開が記録されている。
親離れしてからのこと、ラハディマは幼い頃に母子共にヒヒの群れに怖い目に遭わされ抱えてしまったトラウマを克服するかのごとく恐怖の対象であるヒヒの群れの中の1頭を襲うのですが、そのヒヒには生後間もない子がしがみついていたらしく、ラハディマに母ヒヒの死骸が木の上へ持って行かれる途中で地面に落ちてしまった。
それに気付いたラハディマは、まだ親も敵もよく分らないまま座り込んでいるヒヒの子に近寄った。
そんなヒヒの子など一咬みどころか前足で軽く踏みつけられただけで殺されて食われてしまうだろうと思ったのだが、母性本能のなせる業か戸惑いながらもラハディマは我を頼って縋ってくるそのヒヒの子を木の上へ咥え上げ、前足で下に落ちぬように支え、身を寄せて夜を過ごしたのです。
それでも結局、夜の寒さでヒヒの子は命を落としてしまうのだけれど、この思わぬ展開には驚いた。
本来ならば敵対する間柄に於いて束の間の縁だったヒョウとヒヒの子にも、もしかすると母性本能だけではなく生まれ変わる以前から続く縁か因果のようなものがあったのかもしれない、まさに袖振り合うも多生の縁。
実は私が知らないだけで、野生にはこういう不思議なようで不思議ではない出来事が普遍的に存在しているのかもしれないが、私には不思議で特別な縁においての出来事だったのだと思えてならない。
オリジナルの番組を観てみたいものだ、時間と熱意と愛情をかけて作られたドキュメンタリーなのだと思う、興味があってダイジェストでよければ下のリンク先でどうぞ。>皆様
リンク:「ナショナルジオグラフィック、『ヒョウの眼』、ダイジェスト動画」