2010年6月10日木曜日

幽霊誕生

今日は正午過ぎから自転車で20分弱の場所にあるドンキホーテへ、WEBチラシで見付けた電動かき氷機が欲しかったがため。

だが、実物を確認すれば耐久性が不安な感じだったので買わず、新しい歯ブラシと黒胡椒の詰め替えのみを購入、帰り道は来た時と同じように大きな通りではなく古い民家も多い網の目のような路地を通ることに。

スーッと空が暗くなってポツンと雨が落ちたか・・・と思ったらいきなり強く降り始め、箱崎なのか馬出(まいだし)なのかはっきりしない地点で雨宿りで近くの軒下へ逃げ込んだ、
風が強くなって膝あたりに雨が当たり始めたのでもう一段奥へ入れば・・・、そこは誰も住んでいないのが雰囲気だけでも分かる2階建てアパートの1階通路、郵便受けは荒れ放題、どの部屋の電気メーターも機能していないようである。

「家屋は住人を失うと途端に色褪せて古ぼける」と何かの話の中で中学の担任が言ったのを思い出してしまった。

雨宿りしているそのアパートの隣もきっと同じ形の建物であろう住人なきアパート、この2棟は1号棟と2号棟だったのだろうか、どの窓にもカーテンは無い。

1階の奥の部屋、部屋の場所と雨空のせいで暗いながらも窓ガラスが手のひら大で割れているのが見える、風向きによって部屋の内側から何か白い布のようなものが割れた部分に蓋をしたり、また離れたりを繰り返していました。

見ていると何度目かでパッと離れたまま戻って来なくなった、ポッカリと暗い穴が開いている、いつまで見ていても白いものが蓋をすることはなく、それでもジッと見ていると奥にフワリと何か見えてきそうでなんとも言えず気味が悪く、そして怖い。

頭の中で幽霊が誕生した瞬間だ、そこにそんなものは存在しないのに、怖さや気味の悪さを覚えた時に頭の中でぬうっと産まれ、そのまま頭の中をゆらりと徘徊するのである。

その幽霊の寿命は怖かった光景を忘れるまでの間、思い出す度に歩き回ってまた怖がらせるのだろう。

早く降りやんでくれぬかという思いとは逆に、雨はなかなか弱くならない、寧ろ強くなっているのではなかっただろうか、直接地面を叩く雨音と、廃屋となったアパートの雨どいに集まった雨水の音を耳で確かめつつ、ちらちらとその奥の部屋を振り返っては見ていた夕刻のことだった。