2015年4月21日火曜日

暗闇の中の誰か

夜が更けて、赤色灯を点けて軽のミニパトカーがゆっくりとかなり狭い道まで入って行く、街灯の明るさに乏しく、人の目に触れそうにない奥まった場所のパトロールである。

窓際から赤色灯の光でカーテンが赤く染まるのはあまり良い気分ではないものの、皆が寝静まっている頃に人知れずそうやって見回ってくれていると思うと物騒な世の中ゆえ心強いではないか。

世の中凍てつくニュースばかり溢れている、毎日にように流れてくる、些細な事で他人を殺める事件はしょっちゅう起きていて、親子同士や夫婦間での事件など珍しくもなくなった。

危機に瀕する人を助ける人も多いが、謂れの無い危害を加える輩もまた多い、人を助けるのは人だけれど、人は人の敵にもなり得てしまう。

別の階に住む人は、床に就く前に懐中電灯でベランダから下の、表通りより暗い建物の裏側になるあたりを照らすことが時々あるという、本人が言うには人の目が届きにくい場所に誰かが注意を向けているとアピールをすれば、そこには不審者は寄り付きにくくなるのではないか・・・と考えているらしい。

なるほど、監視の目があることを察知すれば怪しい人は寄り付きにくくはなるかもしれないということか。

ほどなく日付けも変わろうかという時刻、近所のコンビニに宅配便を預けに行った、早朝からレジに入る学生風の男は扱いが乱暴なので中年店員のいる深夜帯を選んでの持ち込み。

控えの伝票をポケットに入れて自宅に戻る途中で木々の茂る敷地をぐるりと囲む長い塀が暗い奥へと続く先に誰かの人影のようなものがチラリと見えた、幽かにしか見えないくせに、動きもせずこちらの様子を窺っているのが分る。

そんな街灯の光も途切れそうな先は行き止まりの狭い通りで何をしているのだろう?

誰だろうかと気にはなったが様子を見に近付いたりは決してしない、こちらも気が付いているのだと見返すだけ。

近所の住民なのだろうか、全くわからないので気味が悪い、このご時世なのでなおのこと。

どこに危険が潜んでいるかわからない、周りへの監視の目と警戒はどうぞ怠りなきよう。>皆様