仕事が終われば寄り道の予定もなく自宅を目指す、私宛の郵便物なども届いてないらしく、何か買ってきて欲しいものも無いということなので実家へ寄る用もない。
昨日の天気予報で今日はそこそこの雨量になると分かっていたので仕事場と自宅とは車での行き来、その予報通りに帰りは傘があっても膝から下は濡れてしまいそうなほどの降りよう、平坦そうな歩道も車道も些細な凹みに水たまりがしっかりできていた。
通り過ぎる天神は人が少なく感じた、きっと雨を避けて地下に潜り込んでビルからビルへ移動しているのだろう、真冬の強い北風に凍える寒い日や真夏のめまいを起こして溶けそうな暑い日と同じ。
せわしないワイパーの向こう側、何度目かの信号待ちは蔵本町の交差点、奈良屋町側から呉服町側へ横断歩道を中学生くらいの4人が声をあげながら、或いは笑いながら大急ぎで駆けて渡って行く、うち1人は頭にハンカチを乗せ、他は手で額の辺りで雨を遮ろうとしていたり、特に抵抗もせずにとにかく早く渡りきろうとする者もいたり。
まだ夜も明けきれぬ暗いうちの早朝から降り始めていて、まさにその時もしっかりとした雨脚だというのに、それでも彼ら若い4人は傘を持たないのか。
どこからやってきたのだろう。
まるで天気のことなど気にも留めず久しぶりに地上に出てきた地底人が雨でびしょ濡れになって狼狽するかのよう、可笑しくて笑ってしまった。
まだ若い子たちなので笑えるが、これが私くらいの年代ともなると印象は一転する、どんよりと惨めったらしくなるのだ、なぜだろう(笑)。
それにしても先週から雨がよく降る、時節柄「菜種梅雨」と言えるし「催花雨(さいかう)」とも言う、どちらも暖かく柔らかい感じで春らしくて良いけれど、今日の雨は雨樋の下で頭を2度洗いできそうなほどの雨なのだ。
日差しもないので風が若干肌寒い、びしょ濡れの若者4人はさぞ寒かろう、風邪などひかぬだろうか、先ほどの天気予報だと明日は晴れるらしい。