2015年5月27日水曜日

昔話は怖い

気の早いことに盆休みは有給休暇を足して1週間ほど京都へ行くという友人がいる、なんと宿も既に確保できていて、あとは急な仕事に邪魔されることなく、そして、体調を損なわず当日を迎えられたら連休を楽しむだけという状態。

まだ2ヶ月以上先のことながら遠足の日が迫る子供のように楽しみにしている、早々と「お土産は何がいい?」などと訊いてくる始末。

お土産か、では何かお願いしてみようか、はて何がいいだろう、・・・と、残念なことに私は京都土産には詳しくない、「おたべ」ぐらいしか知らないのである、手頃なものなら何でも嬉しいと答えれば「じゃ何か漬物と、お前が好きそうな名前の『幽霊飴』を買ってきてあげる」と言った。

珍しい名前だと思う、そういう飴があるのを知らなかった、確かに怖い話が好きな私にはぴったりの名前である(笑)、説明によるとそれは自分の乳飲み子に与えるために飴を買いに来る母親の幽霊の話と繋がるものらしい、その話が伝わる地で売られているのが幽霊飴なのだと。

味は素朴な感じで普通に甘い飴だそうで。

実はここ福岡にもほとんど同じ内容の昔話があったりする、安国寺という寺に伝わる話で何年か前に長崎の人からも同様の昔話を聞いたことがある、寺の名前や環境設定が微妙に異なりはするけれど。

もしかすると全国どこにでもある話なのかもしれない。

身近な場所でのちょっとした怖い話が長きに渡って受け継がれている場合がある、その飴の話のように。

岸から間近に見える小島に犬と一緒に肝試しに行き、そこの祠に漂う妖気に恐れをなして逃げて帰ったものの、自分の身代わりで命を落としてしまった犬の話なども九州の幾つかの島や瀬戸内海の某島に同じ話があったりするらしい。

乳飲み子のために飴を買う幽霊の話ほどではないにしろ、意外と広い地域で伝わる話なのかもしれない。

何故だか子供に聞かせる昔話には意外と怖いものが多い、よその地には無く、ある地方だけに伝わる話のほうがより怖い。

「まんが日本昔ばなし」という番組をご存知だろうか、確かあの番組だったと思うが「夜中のおとむらい」という話を観て昔話には怖いものがあるなと思ったものだ、大場宇平という侍が自分の弔い行列を見てしまうという話なのだが、今でもそのまま実写版でオムニバスの短編ミステリーとして通用し、テレビに登場しそうな内容だった。

こういった雨水のようにジワリと滲みてくる怖さはぜひ子供の内に味わっておいて欲しいなと思う、派手な怖さで身が竦むような話ではないけれど、幽霊飴のようにも甘くはないはず。