2015年5月24日日曜日

あぶらむし

咄嗟の時にこそ脳に染み付いた昔の言葉が出てしまう。

夜、ベランダの網戸を開けて洗って干していたスニーカーを取り込んでいたらポトッと何かが闇夜からこちらめがけて飛びこんで来た、虫だ、コガネムシかカナブンか?

いや、違う、「あぶらむしっ!」・・・と脳内で叫んで履いていたクロッグ風サンダルで叩き潰そうとしたがササッと部屋の中に入って行ってしまった。

これはおおごと(!)。

あぶらむし=ゴキブリのことである、知らぬ人もいるがゴキブリはちゃんと羽があって飛べるのだ。

向かった先はテレビを載せたラックの裏のようだった、テレビの他にオーディオ機器も乗せている、かなり大きなもので裏を覗くと配線と床側に隠れられそうな暗い空間があるのが見える、たぶんそこにいるのだろうと殺虫剤を取りに行く。

ラックの両サイドから1秒ずつスプレー、あとは耳を澄まして様子を見るだけ、ほどなくカサカサという音が聞こえ始めた、苦しんで暴れているのだ、更に待っていると飛び出してきたので直接1秒スプレー、ひっくり返ってじたばたしているのを小さなビニール袋を手袋代わりにして掴み(笑)、そのまま裏返して中に食器用洗剤をポトリ、口を輪ゴムで縛って家庭用生ごみの袋へポイ。

・・・終わった。

どこの国だったかは忘れたが(アジアだった)子供たちが虫カゴにゴキブリを入れているのをテレビで見たことがある、日本でカブトムシを虫カゴに入れて観察したり可愛がるのと同じ感覚のようだった、ところ変わればとは言うけれどゴキブリも場所によってはそういう扱いをされているのを知って驚いたことがある。

私はどうしても病気を運ぶ汚い虫としか見ないけれど。

仮にゴキブリがアイスブルーの体色につぶらな瞳で、動きがおっとりしていて、昼間に花の密を吸い美しい羽音を奏でる虫だったらどうなっていただろう、もしそうならきっと夏には飼育ケースと餌とのセットでデパートで売られ、「わあ、ゴキブリだ」と手に取って喜ぶ人は多かったかもしれない。

まあ、そんな虫なら今に至るまで生き残っていないかもしれないが。

ところで冒頭で書いたように私は子供の頃にはゴキブリのことを「あぶらむし」と呼んでいた、博多に限ったことではなくたぶん全国区のはず、家庭用の殺虫剤の効能書きには対象となる害虫として「あぶらむし」と書かれていたし。

語源は知らぬが油で濡れたようなテカりがそう言わせるのかもしれない、或いは油カスを好んで食べたりしたりだとか。

もうひとつ付け足して書いておくと、博多弁ではゴキブリとしての意味ではなく別の意味で使うこともある、「のけ者」とか「邪魔者」という意味で使うのだ。

今夜飛来してきたゴキブリは居座る前に退治できた、夜にそんな邪魔者が暗躍する季節は始まったばかり、うちは4階なのに飛んでくるとは・・・。

もっと下層階だと飛来しやすいだろうと思う、窓や網戸はしっかりと閉めておいたほうがよろしいかと。>皆様