2017年7月26日水曜日
最後の羽化
以前にも登場した臭い花を咲かせていたトウネズミモチ、いつの間にか伐採されていた件には少しだけ触れてはいたが(2017年3月22日のブログ)、その切り株のすぐ横の地面に穴が開いているのを見つけた、画像では1ヶ所だが他にも1ヶ所の穴がある、セミだ、クマゼミが羽化したのだ。
このトウネズミモチが伐採された正確な日は知らないので切り株だけになってからどれくらい経つのかもわからない、伐採に気が付いたのが今年の3月22日なので少なくとも4ヶ月は経つということになる、今日でなくとも数日前にセミが羽化で地上に這い出てきたとして、その幼虫は4ヶ月もの間樹液を吸えなかったことになる。
それでも夜間に這い出てコンクリートの壁で羽化したようだ、抜け殻がすぐ近くに転がっていた、這い上がる幹もなく、仕方なくコンクリートの壁によじ登ったのだろう、なんだか切ない。
クマゼミの幼虫は数年間木の根から樹液を吸いつつ生きているので今年羽化した以外に来年、再来年と羽化するはずの幼虫もいるはずだが、命の糧である木が伐採されてしまったのでもう樹液は吸えない、今年羽化した幼虫はなんとか這い出てこれたが、それ以外の幼虫はもう餓死してしまうのだろう。
なんとも不憫な話ではないか。
見た目が美しかったり可愛いわけでなく、相当な鳴き声は賑やかすぎるし、電線に穴を開けたりもしてしまうが、羽化後にせいぜい1〜2週間しか生きられぬことを思うとそうそう悪くは言えない、やっと羽化できた伐採後の切り株の下から這い出てきたクマゼミは今頃どこかの幹にしがみついて蒸し暑い夏の夜が明けるのを待っているだろうか。
平日の夜も更けた頃に団扇を手にした数人がとぼとぼと通りを歩いているのが見えた、今日は花火大会だったのだ、私の部屋にもかなり大きな音が響いてきた、百道浜は相当混雑したに違いない、休前日ならまだしも、明日の仕事に疲れが残りそうな花火大会だったろう。
派手な花火がほんの一時であるように、盛大に鳴くセミもまたほんの一時である、そうやって季節は夏を登り詰めては降って行く、セミの抜け殻にツクツクボウシが混じるようになると夏ゼミの季節も終わる。
7月も残り数日か、あっという間だなと思う。