仕事帰りは徒歩で大名から天神へ抜ける道を通って寄り道だ、ここ最近のうちで特に寒い日だったので私は首を縮めて早足だった。
片側1車線の通りに沿って歩いていると周辺の通りと比べてそこは妙に渋滞していることに気付いた、原因は前方に見える路上駐車だ、ハザードを点滅させた軽自動車が停まっているのだ、その後続は反対車線が空いて邪魔な車を追い越すまで前へ進めない。
そこへ2人のお巡りさんがやって来た、通報なのか付近を警ら中だったのかは分からない、ナンバーを調べて無線でどこかに連絡をとっていた。
後続の車の中にはクラクションを鳴らす人もいてかなり騒々しい、・・・と、そこへ運転手が戻ってきた、ファーのついたハーフコートを着たまだ若い女だった、お巡りさんに何か言われているが無視するかのように車に乗り込んだ、もう片方のお巡りさんも何か言っている、私が歩き進む方向でのことだがまだ距離があるのでやりとりは聞こえなかった。
お巡りさんはもう少し先へ進んだ少し道幅が広くなった場所を指差して誘導した、歩道側に少し乗り上げて車を停めよということなのだろう、この時点で私はその3人を追い越して遠ざかろう・・・としたのだが、女は誘導を無視してそのまま走り去ろうとしたのでお巡りさんが走って後を追い大声で制止した、女は仕方なく歩道側に車を停めエンジンを切って車外へ出てきた、そして一切悪びれることもなく「ええそうです、ほんの少しの間そこに停めてましたけどそれが?」、女は開き直って大きめの声で吐き捨てるようにそう言ったのだ。
うわ、なんだこの女は。
お巡りさんとて人間だ、さすがにその発言にはムッとしたようでそれまでの物腰とは明らかに違う態度を取るようになった、そうだそうだ、そうなるのは当たり前だ。
女は免許証の提示を求められ、お巡りさんは用紙に何か書き入れていた、当然違反切符は切られただろう。
その女はどこへ寄っていたのだろうと思って車に戻ってきた方向を確認するといかにも女性が好みそうな雑貨店がそこにはあった、大きなウィンドウからは温かみのある白熱灯に照らされた諸々が見えている、そのすぐ近くにはコイン式の駐車場も見えているのに「少しぐらいなら」と甘えて路上に車を放置したのだろう、身勝手なことである、そのせいで後続の車は進めず渋滞を招いてしまったのだ。
それにしてもなぜ開き直ってしまうのかと呆れる、事を大きくするだけではないか、謝ったからといって違反を見逃してもらえるわけではないだろうがいろいろとマイナスに作用するのは間違いない、なにより、お巡りさんの心情は極めて悪いと思う。
更に暮れも押し詰まってくるとそういった勝手な路上駐車などはイライラからドライバー同士のトラブルになりかねない、交通ルールも含めた世の中のルールはきちんと守って暮らして行きたいものである。