久しぶりにスマホの電話帳を整理した、電話番号というより今はもう使われていないメールアドレスの整理である、ひとつひとつ見て行き、長らくメールでの連絡をしていない人には確認のメールを送り、返信があるかエラーで戻って来なければそのまま残すという手順。
結局、名前と今はもう使われていないメールアドレスのみが登録されていた2人分を削除した。
その途中で「しし鍋」という名前に目がとまった、この人はメールアドレスではなく電話番号のみでの登録、確か4年か5年、それくらい前に登録した人だ、なぜ名前が「しし鍋」なのかというと偶然にも同じ名字の人が他に3人いるので電話帳登録には苗字に何か足そうと思ったのだが、その時に話していた内容の「しし鍋」が記憶に残っていたのでそれを名前として登録したのだった。
ある日、一緒に飲んでいると「俺、○○(会社の同僚)から雑巾臭いって言われた、腹が立つ」とこぼすので「確かに、ちょっと臭う」と正直に言ってしまったのが原因でぷっつり途絶えてしまったのだった。
「毎日風呂には入ってるぞ!」とムキになられたが、そういうことではないのだ、いくら風呂なりシャワーなりで体をきれいにしても、着衣が臭うと結局「臭い人」ということになるのだ。
汗かきで汗の臭いもあったのだが、室内干しでの生乾きの臭いのようなものが強いのだ、なのでそれまでにも「ぬるま湯と粉末の酸素系漂白剤を使うといいよ」などと遠回しにではあるが言ってみたりしたことはある、まあ、最後の飲み屋でももっと別な言い方をすればよかったのかもしれないが。
それにしても臭いと言われたことがよほどショックだったのだろう、私が逆に臭いと言われたら「ええっ!?」と思うかもしれないが、連絡を断ってしまうまでには到底至らない。
しし鍋さんはその後、当時勤めていた会社が倒産し、同じ職種の別の会社へ移ることになり、かなり遠い場所へ引っ越して行ったという話を聞いた、今はどうしているのだろう、ためしにかけてみると番号が存在しないというアナウンスが流れてきた。
せっせと洗濯してくれているだろうか、なにより元気にしているだろうか、少し気がかりである。