2016年3月7日月曜日

ポイ捨て

仕事が終わってから一緒に遅い晩メシでもと待ち合わせをした、相手はKさんという数年前から飲み屋でちょくちょく顔を合わせる同い年のサラリーマンである、飲み屋で話をするのは幾度となく繰り返してきたが、外でメシをいうのは今夜が初めてだった。

待ち合わせの時刻は午後9時、相手は連日仕事が午後8時過ぎまでという日々が続き、こちらも8時で店が終わった後の後片付けと清掃でそれくらいがちょうど良いのである。

Kさんはいつもきちんとした身なりである、話かたも、その内容も特におかしな点は感じられない、私は偶然に居合わせた以外での申し合わせ(待ち合わせなどの約束)をした上で外へ飲み食いに出掛けるのはある程度信頼できそうな人としか行動を共にしない。

約束の場所へは6分ほど早めに着いた、それよりもKさんは早く到着していたようでこちらに背を向けるようにビルの柱にもたれていた、左手にはタバコを持っていた、最後の一口を吸うとKさんは指でピーンと弾くようにタバコを飛ばした、タバコは火が着いたまま数メートル飛んでビルの壁側に飛び、コンクリ地の床にポトリと落ちた。

その一瞬だけオレンジの火が僅かに散り、その後は暗く赤い点となってぼんやり見えていた。

Kさんに目を戻すと飲んでいたのであろうコーヒーの缶をもたれていた柱の足元に置いて背伸びをし、そして私を見つけ、にっこりと笑って「さあ、行こうか」と言った。

いや、まだだ、Kさんに火の着いたタバコを消せと言い、空き缶はそこに捨てるなと拾ってもらった、Kさんは「マズいとこ見られちゃったな」と苦笑いをしていた。

私は仕事場周辺の清掃もする、誰が落としたか捨てたか分からぬごみを拾い集めてきれいにする、調理場で料理をするだけが仕事ではないのだ、狭い隙間に押し込まれたごみからポイ捨てのものまで、ビニール袋を提げてごみを片付けている、普段は正月休み明けの仕事始め(2016年1月3日のブログ)の時ほどではないがごみが出ない日はない。

ポイ捨てされるごみにはうんざりである。

誰も見ていなさそうな時にその人の本当の姿がポロリとこぼれる時がある、今日のKさんについても私はそういう瞬間を見てしまったのだろう、連日仕事場周辺に捨てられるタバコの吸い殻からペットボトル、不要なレシートなどの紙くずなどはああやって捨てられているのだと思う、もちろんそこには捨てる物はあってもそれらを片付ける人へ考えなどは何も無い。

事前に決めていた店でさっさとメシを済ませ、後はどこへも寄らず真っ直ぐ帰ってきた。

明日はいつも通りの仕事である、仕事場に着いたらいつものように周辺のごみを確認してきれいにしておこう、きっと夜の間に誰かが指でピーンと弾いて捨てたタバコも点々と落ちていることだろう。

タバコは、歩きタバコではなく吸殻入れのある喫煙所まで我慢してもらえると有り難い、ごみだけでなく火事の原因も減るのだから。