仕事を終えて歩いて帰る途中の橋の上、中洲から川端に移るその橋から川面を覗いてみると浅い流れの中にでっぷりとした鯉がいてゆっくりと川岸に移動しながら底を探っていた。
その向かう方向には別の魚がいた、雷魚だった、川岸の狭い隙間を念入りに覗きこんでゆっくりと上流側へと移動していた、それらお互いが鉢合わせしたらどうなるのだろうと私は橋の上から眺めていた、鯉が川岸に向かって移動するのに合わせて私もゆっくり手摺に手をかけたまま移動。
ふと、その手摺の1mほど先にセグロアシナガバチがとまっているのに気が付いた、今の時期なので働き蜂ではなく女王蜂である、盛んに腹をうごかしていたのは日差しで暖まりながら呼吸を早めていたのだと思う、実はまだ寝ぼけていたのかもしれない。
冬眠から覚めて本格的に活動を始めようとしていたのか、川面ばかりに気を取られていてうっかり手を乗せるところだった。
触覚が微妙に動いている、真っ直ぐを見ているようで、うつむいたままのようでもあり、この蜂はどこを見ているのだろうと思っていると飛び立って高い位置から私とは反対の方向へ行ってしまった。
元々あった巣の場所を覚えているだろうか、覚えていても巣は無くなっているかもしれない、とりあえずは冬眠前の記憶を辿ってそこへ帰って行くのだろう。
そうだ、先ほどの2匹の魚を思い出してまたもや川面を覗き込んでみると鯉だけが悠然と泳いでいた、相変わらず底を探るようにヒレをゆっくり動かしながら川岸に沿って上流側へ。
鯉と雷魚は鉢合わせをしたのだろうか、驚くとしたら神経質な雷魚のほうだろう、その瞬間があったのなら見てみたかった。
その後はその場を離れて寄り道もせずやや早足で帰るのみ、部屋に入るとムッとした感じでやや暑い、窓を開けた時の風が心地よい、閉めきった部屋が暑いと感じるのは久々のことである、街には花の色が増えてきた、人の装いも薄着になり始めたような気がする。
時々、まだダウンジャケットを着ている人を見かけもするけれど。
次の休みがこんな陽気で桜でも咲いていようものなら久しぶりに市内南区の花畑園芸公園にでも行ってみたくなってきた。
今日の天気と暖かさはそんな気にさせる晴れの日だった。