2016年3月9日水曜日

Sさんの嫁姑

パートのSさんのお義母様が亡くなられた、長男と結婚し嫁いだ先で姑との同居、かれこれ25年は経った今日のことである。

同居初日から何かと厳しく、雑巾の絞り方から靴を脱ぐ順番まで厳しく躾けられて何度別れて実家に帰ろうかと考えたことか数えきれないくらいだったという、そのうちきっと本当の親子のようにくだけた仲になれるだろうと思っていたが、結局お義母様はずっと厳しいままであまり笑ってもくれない人だったそうである、嫁姑の関係は細かく根深く執念深い。

今朝の6時前に「お義母さんが危ないから」と病院から連絡が入り、その数時間後に亡くなられたという連絡が入った、「まだしばらくはいろいろしなくてはならぬことがあるので大変だよ」と言うと「でも、正直ホッとしました」とSさんは言った、不謹慎なことを言うものだと思う人もいるかもしれないが、私はSさんの偽らざる正直な気持ちなのだと思う。

いつだったか、Sさんは「パートで遅くなるばかりで晩(食事)の支度もロクにしないなら行ったっきり戻って来なくてもいいんですよ、どうせ作ってもらったって塩辛いものばかりだし」と言われたとかで悩んでいたことがある、電話がかかってきて「家に戻らなくてもいいからって伝えてください」と伝言を託されそうになったこともある、もちろんそんなことは伝えられませんと断ったが。

他のパートさんらはSさんが少しでも早く帰れるようにと晴れた日は自転車で来たほうが早くていいよ、残業は一切しちゃだめだよ・・・などとアドバイスをしていたのを覚えている、Sさんも気苦労が絶えなかっただろう。

電話の終わりがけで「1週間ほど休ませてください」とSさんは言った、もちろん了承した、忙しくとも店はなんとかなるので問題は無い。

電話での短いやりとりの中で感じたことがある、Sさんの中ではお義母様が亡くなられたことで一区切りついたのだろう、それはお義母様のことだけではなく、自分自身のこれからのことについても何か考えているのかもしれない、言葉の端々と語気からそういった雰囲気が伝わってきたのだ。

単なる予想なのでここで何を書くわけにはいかないが、きっと私が考えている通りの未来をSさんも思い描いて自ら進もうとしているのかもしれない、いつか、それがはっきりとすればまたここで続きを書くことにしよう。

今はとにかく忌中のドタバタで時間の感覚が麻痺しかかっているのではないかと思う、忙しさが一段落した頃に疲れがドッと押し寄せてくるだろう、季節の変わり目とも重なっていることだし、なんとか体調を崩さぬように乗り切ってもらいたい。