2015年9月1日火曜日

後味の悪い映画3本

観終えた後のすっきり爽やかさなどとは無縁な後味の悪い映画を観たことがある、どれも洋画で3本ある。

まずは「ポゼッション」、1981年のフランス映画で主役は美しきイザベル・アジャーニ、長期の単身赴任から戻ってきた夫が妻の様子が変だと気付き、「男」ができたのだと確信し調べ始めるのだが、真相に近づくにつれ「男」の正体と狂気さを増す妻に自身も狂い始めるという映画なのだ、ジャンルはSFかオカルトかよくわからない。

「男」は妻の妄想の産物という解説もあるようだが異形のそれは人を殺める実体を持った生き物であるので脳内の妄想というわけにはいかないだろう、私に言わせれば化け物なのだ、物語はその化け物が登場するあたりからよく理解できなくなり、ラストは「たぶん、そういう意味なのだろう」と推測で納得しているのだ。

美しいイザベル・アジャーニが地下道で液体を噴出させながら絶叫するシーンは耳を覆いたくなる狂気の演技だ、なんという映画なのだ。




次に「ダンサー・イン・ザ・ダーク」、実はこれ映画の宣伝文句にもなっていたミュージカルという部分に興味があって観た映画だったのだ、しかも映画の日の1000円デーを狙った元日だった、物語は次第に視力を失うビョーク演じる母親が同じ道を辿るはずの息子の目の手術代としてこつこつ貯めた金を隣の男に奪われてしまい、取り返しに行ったところで過失で怪我をさせ男が願うまま射殺するに至ってしまう、故意に射殺したというより成り行きで銃で撃ち死に至らしめたという感じだ、裁判で有罪となり死刑判決を受け絞首刑となるのだが、ラストがその絞首刑の場面なのだ、とても元日に観るような映画ではなかった。




そして「イレイザーヘッド」、「ツインピークス」で知られるデビッド・リンチ監督のモノクロ映画、ジャック・ナンス演じる冴えない印刷工が異様な赤ちゃんを産んだという女と結婚し悪夢とも幻想ともつかぬ奇妙な生活を始めるのだが、赤ちゃんを産んだ女は家出し男手で育てることになってしまう、後に、別の女と出会い異形の赤ちゃんが邪魔になってハサミで殺してしまうのだ、・・・と、書いたものを読んでも何がなんだか理解できないだろう、そう、観ているこちらもよく理解できないのだ。

ただ、暗いシュールな映像と陰鬱な雰囲気は滴るほど伝わってくる、いったいどういう映画なのだ、もう1度見てみればよく理解できるのかもしれない、デビッド・リンチ監督の映画は1度だけでは理解できない映画が多い、「ブルー・ベルベット」や「マルホランド・ドライブ」なんかもそうだ。

ラジエーターから登場する顔の両側にコブのある女性の歌声が頭から離れない・・・。




友人から「何か変わった映画知らない?」とメールで訊かれて3本目に書いた「イレイザーヘッド」を紹介した、友人はレンタルで借りて観てみると言っていたが、どういう反応が返ってくるだろう、本人の希望通りの「変わった映画」という条件は充分に満たしているのできっと喜んでくれる・・はず。