2015年9月26日土曜日

敵も生きるのに必死

気管支炎の治療を始めて2週間が経った友人がいる、てっきり治ったのだろうと思っていたら逆だった、処方してもらった薬を飲んでいたが咳が酷くなったので再度レントゲンを撮ってみると肺の一部が白っぽくなっていたらしい、重症ではないが肺炎なのだ。

飲んでいた薬はクラリス(クラリスロマイシン)だった、だが効かなかったのだ、なので病院のベッドで点滴による抗生物質(成分不明)を投与され病状は回復、自宅ではクラビット(レボフロキサシン)を服用しほぼ完治に近い状態となっている。

医者は「前の薬もよく効く薬なんだけどね」と言ったらしい、そう、クラリスは優れた抗生物質だが耐性菌が多くなって昔のような効き目はもう期待できない。

ここでいう「昔」とはたかだか数年前なのだ。

糖尿病や痛風の薬はどうだろう、効き目が確かな成分は数年と言わず10年でも20年でも使われるはず、その長きを第一選択薬として使われているかもしれない、だが抗生物質はそうはいかない、耐性の問題があるからだ。

耐性を獲得するのは敵も生きるのに必死な証だと思う、だからこそ正しく使わないと効き目のある薬としての寿命は短いものになってしまう、中途半端で適当な使い方や乱用で敵が耐性菌と化すので人は戦う選択肢が少なくなってしまう。

そこでまた新しい構造の薬が誕生する、敵は一時的にやられるがそれに耐性を持つようになる、そしたらまた別の薬が登場する、そしたらまた敵も耐性を・・・、これではきりがない。

そんな状態で新薬の登場が遅れたらどうなるだろう、それはつまり使える薬がなくなるという状態であり単純な感染症にさえ使う薬が無いということになる、薬そのものはあっても効き目のある薬が無いのであれば意味がない。

今やネットで誰でも簡単に個人輸入で安いジェネリック薬などを買えはするが、素人判断による体調不良の原因探しによる間違った判断と安易な抗生物質の服用で病状はこじれやすくなっている、これなら薬が効きにくい耐性菌の誕生など容易いことではないか。

昔なら激烈に効いたかもしれないが今現在では友人にはクラリスは効かなかった、抗生物質は家畜への使用なども含めて今一度使い方を見直すべき時なのではなかろうか。