2015年9月3日木曜日

私は元喫煙者


私は元喫煙者だ、40代の前半まで吸っていた、銘柄はマイルドセブンで確か220円か250円だったと記憶している。

タバコをやめようと思ったのは値上げが決まった時だった、頭では「煙と灰になるものなのに」といつも思いつつも吸っていたのだが、数字の上だけでなく毎回タバコを買う金と同額の小銭を貯めてみて1ヶ月分の重さにびっくりしたのだ。

1箱が250円で2日に1箱買っていたとして、1ヶ月で3750円か、確か30円ほど値上げされるはずだったから近い内に4200円にもなる、硬貨の枚数が少ない1箱250円での重さにしろポケットに入れるにはズシリとしっかりしたもので煙と灰になって消えるには勿体無い重さだった。

まあ、両替でもして3000円分を1000円札3枚にしてしまえば重さなど意味もないのだけれど。

体に悪いよといくら言われてもやめなかったのに、具体的な目と手の感覚でのタバコ代の重さで実感すると途端に勿体無く思えてあっさりやめた、その日を境にタバコはただの1本も吸わなくなったのだ。

使いかけのライター用オイルはハクキンカイロ用で使いきってしまい、油分を失ったそのオイルライターは今も引き出しの中で眠っている、最初の内は飲み屋で手持ち無沙汰だったがすぐ慣れた、吸わなくなって思ったのはタバコは臭いということ、吸わなくなると自分の衣類や部屋から徐々にタバコ臭が消え、その代わりに喫煙者の臭いに気がつくようになった、すれ違いざまにしろ、遊びに行った友人の部屋にしろ。

それと、目覚めた時の喉のいがらっぽさがなくなった、タバコは体に負担なのだと頭では理解していたのに、やめた後の変化で強く実感しあらためてそう思った、咳も出なくなり、食べ物が美味しくなった、通説のように言われる激太りもせずに体がきれいになってゆくような感じが楽しかった。

今日は早い内からいつもの飲み屋に行った、いつもは他店で飲んでいるというお初の人が同じカウンターにいたのだが、「どうですか?」とタバコを勧めてくれた、が、もうやめたのでと言って断った。

「よくやめられましたね、僕は何度か挑戦したけど失敗しました」と言う、「今の彼がタバコの臭いを嫌がるのでやめなきゃとは思うんですけど」と言って笑う、そうか、ならば1箱買う度に同じ額を小銭で貯めてみよと言うと冗談だと思われてクスッと笑い返してきた、いやいや、冗談ではない、私はそれで一発で成功したのだ。

それが成功するには私のように小銭にうるさい性格でないと効き目はないのだろうけれど。

タバコを勧めてくれた人はそんな感じはしなかったので、きっと別なアプローチが必要なのだろう、さて、何が効くだろうか、それが見つかれば禁煙はすぐにでも成功すると思う。