2017年9月7日木曜日

不思議と膝に寄ってくる最強の虫

ハチのようでハチではなく、相当に敏感な視覚は餌の捕食や危機回避に欠かせぬもので、人が手で追い払う動きなどひどくゆったりとしたものらしく容易くかわして飛ぶさまはまさに敏捷なハエそのもの、私はスズメバチやサシガメでさえ捕らえて捕食するそのシオヤアブという虫こそ最強の虫だと思っている。

真夏も活発に活動はしているが、不思議と縁側でぼんやりしている時に近寄ってくるのがちょうどこの時期、今日も雨を境に急に涼しくなった午後のベランダから一瞬だけ部屋に飛び込んできたシオヤアブが私の膝にとまろうとしたのだった。

シオヤアブがなぜだか膝にとまりたがるのを子供の頃から知っている、この意見の賛同者はほとんどいないが体験からそう思うのだ、半袖からの腕や足首ではなない、太ももやふくらはぎでもなく膝なのだ、座っていようが立っていようがそこにとまろうとする、蚊のように血を吸いに狙って来ているわけではないけれど。

私はこの俊敏な虫を網で捕らえてしげしげと観察したことがあるのだが、指で摘もうとしたら刺されてしまい相当痛かったのを覚えている。

どこを見ているのかはっきりとせぬ複眼はこちらの顔を見ているようでもあり、天井を見ているようでもあり、私の親指を刺した口吻は黒い棘のようにしか見えぬものだが、よくそんなもので硬い甲虫の節を貫けるものだと感心した、小学3年生の夏休みのことである。

虫しか捕食しないはずのシオヤアブに刺された人がもう1人身近にいる、私の甥っ子だ、窓とカーテンの間で羽音をたてる虫がいたのでカーテンごと摘んで外に逃がそうとしたところ布地を通して刺されたのだ、左手の親指の付け根の盛り上がっているあたりをチクリと。

全く興味深い虫だと思う、ハチやトンボを捕らえる瞬間を見てみたいものだ。

ところで、そのシオヤアブに捕食されることもあるスズメバチだが街の中で見掛ける機会が増えてきた、県庁の近くや筥崎宮の参道沿いで確認している、7月に天神のど真ん中で見掛けたように(2017年7月20日のブログ)街の中のどこかに営巣しているのは間違いない、しかも秋のスズメバチは気が荒くて人を襲う。

ビルとアスファルトで固められたような場所でさえ意外と身近な場所にいるのかもしれず、都市部であってもご用心を。

過剰反応で攻撃を仕掛けてくるスズメバチよりも、膝にとまろうと鬱陶しいだけのシオヤアブのほうがまだ可愛いなと思う。