2017年4月20日木曜日

なぜか「褌」

燃えない家庭ごみ用の指定袋を買いにコンビニに寄ると母の日と父の日の特設コーナーができていた、コンビニで売っている物を贈るのかと思ったがカタログから選んでの取り寄せ販売らしい、取り扱い商品はケーキに花、酒に炊飯器まで様々。

私の父は私が高校生の時に他界したので父の日に何か贈り物をしたということはない、そういう習慣もまだそれほど根付いていなかった頃でもあったので父の日を意識したこともなかった、母の日にしても初祝いは確か20代の終わり頃ではなかったか、母の日=カーネーションの花一択のように思われていた時代だったが切り花よりはずっと長持ちするだろうとサボテンを贈った、生前の一番上の姉が「これを贈るの?」と驚いていたが。

そんな私が逆に祝ってもらったこともある、私に子供などいないのだが、飲み屋でよく話す11歳年下の人から「はい、父の日のプレゼント」といきなりB5サイズほどの包みを手渡されたことがあるのだ、身内でもない11歳違いの男になぜ父の日の贈り物なのかと大変驚いたが言うことが実年齢よりずっと年上な感じがするのだと笑って明かされた、要するに老けているということだ、私が40代半ばのことである。

いただいた品を開けてみると褌だった、それも越中褌と言われるものである、包みがデパートのものだったのでデパートでも褌を売っていることをその時知った。

後日会った時にお礼を言ってなぜ越中褌なのかと訊けば褌は持ってなさそうで、他の褌よりもイメージにぴったり合うからだとまたしても笑いながら言った。

まあ、私はどのタイプの褌も愛用したことはない、ゲイには六尺褌や黒猫を好む人はよくいるけれど私は好きではないのだ。

とはいえ、せっかくいただいたのだから一度だけ着用したことがある、サラサラでなんとも言えない緩い感じは楽でよかったが、普段のパンツ(トランクス)のほうがもっと簡単に上げ下げだけなので褌を身につけたのはそれきりである。

もし、私の父が今でも生きていたら私は何を贈るだろう、血圧や尿酸値が高かった父なので酒や食べ物以外から探すだろう、だが、花で喜ぶタイプではない、着る物には無頓着だし、ああ、難しい。