晩メシも済んでのんびりと録画しておいたNHKの番組を見ているところへ甥っ子がやって来た、他所からのいただきものだが富有柿がかなりあり、欲しいなら取りに来いと連絡していたのだ。
柿を渡して帰すだけでは素っ気ないのでお茶でも飲んで行けと台所で用意していると甥っ子の笑い声が聞こえた、先ほどまで私が見ていた「新日本風土記」という番組のワンシーンが笑いのツボに嵌ったらしい。
どんなシーンかといえば唐津の祭り「唐津くんち」に参加した男衆が祭りの余韻に浸る雑な飲み会で、そこに設えてある長テーブルの上の缶ビールと肴であろう盛り付けなどされていない素のままのかまぼこ(?)が無造作に置いてあり、そのうちの1つが袋から出されていて誰かのガブリと噛んだ歯型が残っていたのだった。
甥っ子はこちらを振り返りながら小さく映っているそれを指さして大笑いをしていた。
それのどこがそんなに可笑しいのだろう、まあ、顔も体型も、考え方も人それぞれなので笑いのツボもまた然りということか。
そういえば、亡くなった姉(長女)とレンタルビデオで借りた「花嫁はエイリアン」というアメリカ映画、美女のふりをした宇宙人が夜のショッピングセンターで買い物をするというくだり、その代金を手のひらサイズの巨大なダイアモンドで支払おうとするが「現金のみ」と言われて出したのが1000ドル札、店員が「もっと小さなものは?」と突き返すと額が小さいのではなく紙幣のサイズが小さくなった子供銀行券のようなものを差し出すというシーンがツボに嵌って大笑いしたのだが姉は全く反応せず不思議そうにこちらを見ていた。
だが、その同じ映画のもう少し後半で、その美女がビデオの倍速再生のようにめまぐるしくキッチンで料理を作るというシーンで姉は手を叩いて笑っていた。
・・・面白いシーンではあるがどこがそんなに可笑しいのだ、先ほどの私と姉が逆になったというわけだ。
更に、映画館で観た「ブリジット・ジョーンズの日記」、主人公の女性が勤務先のハンサム編集長と週末に車で出掛けるという流れで助手席に座る主人公のスカーフが飛ばされてしまうというハプニング、続くシーンは宿泊先のホテルのフロント、そこで映った姿は風で乱れた髪がグシャグシャで大きく膨らんでいたのだ、私はそのシーンで噴き出してしまい笑った。
そして、もう少し話も進んだところ、その2人が池のボートからバランスを失い転落してしまうというシーンでは少し後ろの列から中年と思しき男性の「ぷはーはっはっ!」という笑い声が聞こえてきた。
私がそのシーンを「そんなに可笑しいだろうか」と思ったように、先に私が笑ったシーンでは同じように思われていたに違いない、お互い共通しているのはそれぞれの周りの人は何れのシーンにも笑わなかったということ。
まあ、そんなところである。
さて、お茶で一息ついた甥っ子は柿の入った袋を手に帰って行った、笑いのツボはどこにあったのか歯型が残るかまぼこのシーンを遡って見てみた。
・・・あの歯型の残るかまぼこか? ううむ、さっぱりわからないが、ワンシーンでも楽しかったならそれで良し。