ミントのタブレットが欲しくて入ったスーパーは初めて入る店だった、レジの近くに置いてあった数種類のフレーバーの中から目当ての物を手にレジで精算を済ませ表へ出ようとしたところで目に留まったのがクリスマスケーキの予約についてのポップ、種類ごとの特徴と価格が画像付きで書いてあった。
品揃えは10種類ほど、価格は2,000円〜5,000円で3,000円台半ばが主力のようだった、どれも美味しそうだ。
私は甘い物が好きだ、もちろんケーキも好きで血糖値や肥満さえ気にしないのであれば好きなだけ食べてしまうことだろう。
クリスマスのケーキで忘れられないものがある、以前にも書いたことがあるのだが(2013年12月22日のブログ)日系アメリカ人のお宅に呼ばれたクリスマスの食事会、そこで食べたローストターキーは美味だったがケーキもまた絶品だったのだ。
見た目は日本でいうクリスマスケーキとは似ても似つかぬもので円柱や立方体のスポンジ生地にクリームをコーディングしトッピングで飾るというものではない、オーブンから取り出して型からゴロリと出てきたのはまるで焼きたての食パンのようだった。
冷めたところで切り分けると中にはペカンやクルミ、アーモンドといったナッツ類、そしてオレンジピールにイチジクやパイナップルのドライフルーツがたくさん入っていた、それを皿に盛ってフロストシュガーを軽く振ってホイップを添えるといった具合。
これが実に美味しいのだ、バターの香りが豊かで甘すぎず柔らかすぎず、ナッツの歯応えとコク、そしてフルーツの甘味と香りがたまらない一品。
なんというケーキなのだろう、私はデパートにしろ独立店にしろケーキを売っている店では必ず探しはしてみるものの同じものを見付けたことがいまだない、似たようなものがあったのでためしに買ってはみたことはあるが具材は少なく生地に混ぜた何かが違うのか香りが別物なのだ。
あの日系アメリカ人にしてみれば焼き慣れた家庭の味なのだろうけれど、私にとっては正に幻の味、幻のケーキなのだ。
小麦粉に砂糖とバターと塩を少し、そして何か酒ともう1種類の液体を少々、そしてハーブかスパイスのようなものも少し・・・だったような記憶はある、後はそれをハンドミキサーにかけてヘラでナッツ等の具材を混ぜてクッキングシートを敷いた型に流し込んで焼くだけなのだが、当時は作り方など意識していなかったのでそれ以上の手順などはよく観察してはいない。
今になって思えば勿体無いことをした、事細かく見て記録しておけばよかったと悔やんでいる。
作り方を覚えていればきっと自分で焼いていたと思う、焼ける間のいい香りがオーブンから部屋に漂ってくるのさえ楽しいだろう。
真っ白でフワフワな甘いクリスマスケーキが欲しければ大手パンメーカーの作るケーキではなくコストコで買うと思う、巨大で安くしっかりと甘そうだからである、だが、きっとあの時食べたケーキほどは満足しないだろうと思う。
ううむ、あの食パンのようなケーキ、もう一度食べてみたい。