午前中の休憩時間に通用口にやって来た副食材の業者さん、いつもより遅めに来たので折りたたみ式のイスに座って私が魚を捌いたり野菜を切ったりするところを見学できない、この人はそれを見ているのが好きなのだ、いつも15分ほどを興味深げに眺めてから帰って行く。
今日は来るのが遅れたのでその後の休憩時間に重なってしまったのだ、見学するものが何もないのですぐに帰るかと思ったら「私の印象を3つ挙げてくれる?」と質問された、しかも、3つともなるべく短く答えて欲しいという。
そこで私は「負けず嫌い、正直、地味」と3つを言うと「お〜」とニコニコしていた。
教えてもらったのだが、短く3つの印象を挙げてもらうとその人が自分のことをどう見てるのかがよく掴めるのだという、3つ以上では細かくなり過ぎてブレて来るし、言葉が長いのもまた然りらしい。
なるほど、大雑把にどういった印象なのかを端的に知るにはそのほうが良いのかもしれない、この理屈はなんとなく分かる。
そこで私も訊いてみた、姉や甥っ子にではなく友人2人にメッセージでだ。
返ってきたメッセージを見ると・・・「お〜」という午前中の業者さんの反応がよく理解できた、しかも、自然とニヤついてしまった、2人の回答は微妙に異なるが困った人のようには見られていないので良かった。
微妙に異なってはいるが2人共通しているものとしては片方が「ケチ」、もう片方が「倹約家」という点である。
うん、そうだ、私は無駄使いはしない、その印象は正しいと思う。
面白い質問と回答のやりとりではあったが、こうやって実際に試してみるのはこの2件だけにする、次は思いもよらない回答が返ってくるかもしれないからだ、笑えるものなら良いけれど、ギョッとするものには困惑するだろうし。
午前中の業者さんは私が挙げた3つを聞いて嬉しそうだった、それは表情からすぐ分かる、自分が自分に対して持っている印象とほぼ重なったのでホッとしたのではないだろうか、もし、3つではなく4つの印象を訊かれていたら「頑張り屋」を足していただろう。
・・・と、負けず嫌いで地味な正直者が通用口を帰って行く後ろ姿を見ながらそう思ったのだった。