夏だったらまだ炙られるような日差しに照らされているであろう時刻の晩メシに必要なものの買い出しも今では薄暗い中でのこととなる、夕方に毎度お馴染みのディスカウントストアへ歩いて行った。
その店もすぐ目の前での信号待ち、そこで買い物を済ませたであろう親子が乗った自転車が反対側のこちら向きで待っていた、青信号で渡り始めて気がついたのだが、その親子が乗った自転車は店の駐輪場でよく見掛けるものだったが、実際に乗っているのを見るのは今日が初めてである、あの人の自転車だったのか。
それは電動アシスト自転車なのだがバッテリーは外したままで、装着するはずのヶ所には専用のキャップをした上から透明なビニールテープで念入りに塞いでいるのでよく覚えている、前のカゴの側面には反射板が縦に3列貼ってあるのが特に印象的で、後ろのチャイルドシートの背面部にも反射板とピンク色のシールが貼ってあるはずだ。
チャイルドシートの子供はヘルメットをしていた、脇には小さなレジ袋、そして手には大きなお菓子(?)を2つも持っていて片方の中身を自転車を漕ぐ母親に見せようと後ろから声を掛けていた、「あーぶーなーいっ!」と母親は子供のリクエストを跳ね返して漕いで行く、前のカゴには口を結びきれないレジ袋が積まれていた。
電動アシスト自転車は堅牢な作りのせいか重量がある、アシストがあるからこそ軽い乗り心地なのだがバッテリーが切れれば真逆な重たい自転車に過ぎない、そのアシストを外した丈夫で重い自転車を小柄そうな母親はぐんぐんと漕いで行った。
横断歩道を渡ったところで見ていると左右から車の進入の心配のないあたりでスパーッと流れるように直進、私が見ていたのはそこまでだ。
あの自転車を駐輪場でよく見掛けるということは今日と同じように子連れで買い物に来ているのであろう、そしてまた後ろには子供、前には荷物を乗せて帰って行くわけだ。
自転車と子供と荷物と本人で総重量は100kgを超えるだろう、自転車なので100kgは楽そうではあるがそれは重量の大半が自分自身の場合で、後ろと前に分散していると漕ぐのはなかなか大変なのではないか、これは前カゴにそこそこの重量物を積んだ際にハンドル操作が重く感じた実体験での推測なのだがあながち間違ってはいないと思う。
同時に、そんな親子の足となっている自転車も頑丈だなと思う、しっかりとタイヤの空気圧も保たれているなどのメンテナンスがされているからだろうけれど。
子を持つ母親は逞しい、そうでないと子供を守り育てられないからであろう、強いなと思う。