2016年2月26日金曜日

合言葉は

今朝の目ざめ際に夢を見ていた、少し怖い夢だった、そのせいでハッと目がさめて、その後は少しもまどろむことなく起き上がった。

夢など目がさめた時にほとんど忘れているか、覚えていても時間が経てば消えているのだが、この夢は怖かったせいか細かい部分まで覚えている。

夢の展開そのものは時間にするとかなり長いのだが、実際に見ていた時間はごく短かったのではなかろうか、今までの転寝の最中に見た夢などが随分と長尺なくせに目がさめて時計を見るとまだほんの5分ほどしか経っていなかった・・・という経験などから夢とは得てしてそういうものなのではないかと思う。

夢には私を含めた主な3人が登場する、話の始りは全く面識の無い見知らぬ男Aと顔見知りかもしれぬBで、うちの近所の路上で談笑しているところから始まる(或いはそこから覚えている)、何を話しているのだろうと見ているとAは車に戻りどこかへ去って行った、それを見送ったBは小走りで私の所へ走ってきた。

「いい仕事を紹介してくれた」と嬉しそうに言い、そして一緒に私の部屋に向かった、部屋で飲み会でもしようという話が既にできていて、その上で私は肴になりそうなものを幾つか買っていてレジ袋を手に提げていたのだった。

部屋に入って飲み始めるとすぐに誰かやって来た、Bが応対に出てくれたのだが来訪者は私にではなくBに用があって来たのだった、誰なのかは分からないが「オイルが減ってませんかね」とBに言う男の声が聞こえてきた、「え、そんなはずはないと思うが」とBの声がする、玄関のドアが閉まるとBは戻ってきて「ちょっと様子を見てくる、すぐ戻るから」と言って部屋を出て行った。

どこへ行くのだろうとベランダから下を眺めているとBが自分の車の後部座席から大きなグレーの箱のようなものを抱え出し、その一か所から器具を使って中を調べていた。

Bはすぐに戻ってきて「問題なかったよ」と笑いながら飲み会の続きを始めた、それも2時間ほどでお開きとなり、Bは酒を飲んだからと車は置いたままにして歩いて帰ると言って部屋を出た、外はもう日が暮れて暗かった。

しばらくすると表で悲鳴が聞こえた、数人が騒いでもいる、何ごとかと思ってベランダから下を見ると路上に誰かが倒れていて人が集まっていたのだった、あれはもしやBではないのか・・・、パトカーの音も近づいてくる。

急いで下へ行き確認すると倒れていたのはやはりBで既に亡くなっていたのだった、血などはどこにも出てはいない、事故ではなく事件であり、Bの亡骸はどこかへ運ばれて行った。

部屋に戻るとBの実家から電話があり「Bのことで誰かがやって来ているのだけれど怖くて出れない」と言うのだ、どういうことなのか気になるし距離もそう遠くないのでタクシーを呼んで行ってみることにしたのだが途中で不思議な光景を見た、見上げるほど大きな牛がいて鼻先で地面に寝そべっている大きな犬を押したり匂いを嗅いだりしているのだ、犬は逃げもせず平然とそこに居たままであった。

Bの実家に到着するも人の気配は無く呼びかけても反応が無い、灯りは消えている、しばらく待ってみたが戻ることにした、戻る途中で来る時に見掛けた大きな牛はまだ鼻先で犬の匂いを嗅いでいた。

タクシーから降りて部屋に戻ろうと歩き始めたところで呼び止められた、街灯の灯りも薄くて暗いがそれがBと談笑していたAだとすぐに判った、Aは「君を助けてあげる、逃がしてあげる」と言うのだ。

詳しいことは解らないが何か差し迫った事態になっているのは理解できた、私はAの後に着いて小さな物置のような小屋の前に来た、「辺りが安全になったら迎えに来る、それまでは鍵を開けないように」と小声だが厳しくAは言った。

ドアを開けて中に入りかけて私はAに「あなたが戻って来たのをどうやって知ればいい、ドアを叩くのがあなただとどうやって見分けるのだ」と訊いた、Aは「君が合言葉を求めるのだ、そうしたら私が答える、合言葉は・・・」と教えてくれた。

私から見て左側=Aの右側から誰かが走ってくる足音が聞こえ始め徐々に大きくなっていた、Aの後側を枯れた街路樹の葉が風で左から右へと転がってゆくのが見えた、そこでドアは閉じられて目がさめたのだった。

支離滅裂で何が何やら解らぬ夢なのだが、緊迫した雰囲気に不安感を覚える目ざめの悪い夢だった。

そんな夢の中の合言葉などランダムで出てきたようなもので意味が無いのはよく解っているのだが、なんとなく人に明かしてはいけないような気がするのでここには書かない。

Aは面識の無い見知らぬ男なのだが、現職の政治家にはよく似ていた、同一人物ほどに似ていた。

Bは見覚えのある男なのだが、どこの誰かは思い出せない、そのくせ電話を掛けてきた実家の家族などとの繋がりは成り立っていて私も理解しているのが不思議である、ううむ、この人は誰なのだろう。

どうせ見るのなら、自分の笑い声で目がさめるような楽しい夢を希望する。



(2016年2月27日追記)

Bさんが誰なのかを思い出した、ソルトレイクシティオリンピックが開催された2002年に亡くなられた人で、私の友人の彼氏さんだったのだ、その2人が連れ立って歩いているところに出会して挨拶程度に話をしたことがある。

場所は天神地下街、ちょうど大丸側から天神コアのほうへ歩いていた時のことである。