富士フィルムのテープに録音されたものをA面の頭から聴いてみた、これは・・・「Nagisa no Cassette VOL.2」(渚のオールスターズ=TUBEと織田哲朗のユニット)を買ったばかりでそこからの曲をたくさんダビングしたものだった、夏に合わせて編集したのだった。
渚のオールスターズ以外からは山下達郎の「GET BACK IN LOVE」や久保田利伸の「You Were Mine」などを収録、どの曲をA面かB面のどちらにしようかといろいろ考えて録音したのを覚えている。
そしてこのテープは何度目かで夏も終わりがけの浜辺に持ち出してウォークマンで聴いたことがある、その時に波で打ち寄せられた木目のきれいな板を見つけ、思わず手にした時に裏側に出ていた錆釘で指を傷つけてしまったのだった、ジンジンとした痛みはほどなく消えたが傷痕の錆色はなかなか消えてはくれなかった、そう、あの時(2012年3月10日のブログ)に聴いていたのだった。
なのでこのカセットテープは30年近く前のものということになる、私がまだ24歳の時ではないか、自分が五十路になる時のことなど微塵も考えなどしなかった頃であるが、その若かった当時を五十路の私が懐古しているなどなんとも不思議な気さえする。
正午過ぎに松林から浜辺へと降りた時の足の裏の熱さ、日が陰り始めた時刻の赤い西日が当たる顔の右側の眩しさと、顔の向きを変える度に風の音が左右交互に移動するのを感じていたことなど、随分と昔のはずなのに意外とリアルに覚えていることに自分でも驚く。
懐かしいのと同時にカセットテープの表面が鏡のように滑らかで巻き乱れもなく劣化していないことも驚きであった、音はサ行の細かい違いがきれいですっきりしている、いい音だなと素直に思う。
A面を聴き終えてB面を再生、その最後の曲は渚のオールスターズの「Be My Venus」だった、Youtubeで検索するとヒットしたのでここにリンクしておこう。
1988年夏のカセットの最後の曲はこの曲にしようと決めていたのだった。
「全て夏の幻でも構わないさ」・・・、この一節に様々な思いが浮かぶ、そんな歳だったのだ。