2015年12月9日水曜日

譲らぬマナーと応じるマナー

帰宅後に自転車でいつものディスカウントストアへ行った、その途中、車線のない乗用車2台がなんとか離合できそうな道幅の4つ角でのこと、私の向かう方向からは女性の運転する軽自動車、そして私から見て右側から中年女性の乗った自転車が1台、それらはその4つ角で出くわした、軽自動車には後続の車はなく前も後ろも見通しは良かったと思う、どちらもお互いを認識していたので双方とも4つ角でスピードを落とし、自転車は完全に停止し中年女性は片足を地に着いて車が行き過ぎるのを待っていた。

後続の車も無いので私はてっきり軽自動車が一旦スピードを落としたものの、そのまま4つ角を通過し、その後で自転車が横切って行くだろうと思ったのだが、軽自動車は4つ角で停車し、中から「お先にどうぞ」と自転車に手で合図していた。

「?」という感じで動かぬ自転車、譲ったのにピクリとも動かぬ自転車に軽自動車の女性も「?」という顔で見ていた、自転車が動きそうにないので発進しよう・・・とした時に自転車が「ああ、譲ってくれたのか?」と気付いたふうで発進し・・・そうになってお互い急停車、危ない。

その後、発進しようとする意思と行動がお互い噛み合わずに急停車を2度繰り返す2人、ほらほら、後続も無いので軽自動車は自転車に先を譲るのではなく、まずは自分が通り過ぎて4つ角から遠ざかるのが最善であり、通り過ぎるのを待っている自転車へのマナーなのではないのか。

軽自動車の女性は親切心から譲ったのだと思うが、それが活きるのは場合によるのだ。

この4つ角の件とは状況から違うのだが昔の出来事をひとつ思い出した、かなり昔なのだが北九州の門司港から黒崎へ普通電車で移動していた時のこと、席には空席は無く立っている人も多い車内に門司駅で妊婦さんが乗ってきたのだった、その人は奥に進むことなくドアのすぐ近くに立っていた。

近くに座っていた大学生くらいの若い男性が辺りを見回し空席が無いことを知るとモジモジしながらも立ち上がって妊婦さんに小声で「ここどうぞ」と勧めてくれたのだ、辺りの乗客もその様子を見ていた。

ところが、妊婦さんは「近いから(目的地が)いいです」と言ったのだった、なおも男性が「どうぞ」と勧めると「いや、いいですから」ときっぱり断った。

結局、妊婦さんは座ることなく4つ先の戸畑駅で降りて行った。

4つ先の駅が近くか遠くかはさておいて、席を譲ることに不慣れだったかもしれない男性の勧めはたとえ下車する駅が次であっても座ってあげたほうが良かったのだ、もしかすると男性はバツの悪さを感じたのではなかろうか、もしそうなら、次にどこかで同じような状況になったとしてももう席を譲ったりしなくなるかもしれない。

「ありがとう」と席に着いていたほうが、譲ってくれた人や辺りで見ている人の気持ちや道徳心にもプラスとなって役立つはずである。

先を譲るマナーもあるが譲らぬマナーだってあるし、人の勧めに応じるマナーだってあるのだと思う。