午前中の休憩時間に副食材の食材卸業の営業さんがやって来た、たまちゃんである(2017年6月27日のブログ)、新人営業として最初のうちは緊張からか口数も少なくぎこちなかったが、今ではすっかり馴染んでよく喋るしよく笑う、それどころかお茶や出来たての煮物の鍋の中を指差してねだったりもする、面白い人だ。
かなりのヘビースモーカーなのだろう、近くにいるとフッとタバコの匂いが漂う、私の営業のたまちゃん=タバコの匂いというイメージが定着している、これは純粋な体臭とは違うが、その人と共に漂う匂いなのでほぼ体臭といっても過言ではなかろう。
人には体臭ではなくともそれぞれの匂いがある、住環境の匂いだったり、仕事で染み付いた匂いだったり、食べ物の影響というのだってあるだろう、できれば無難に無臭であればよいのだが、現実には全く無臭の人はいない。
私がゲイとして最初に付き合った中年男のHさんは冬になると革ジャンをよく来ていた、爆音けたたましきバイクに跨る姿がよく似合うような革ジャンではない、ブラウン系のヨーロッパものだ、革ジャン以外に革のコートの時もあった、体の動きに合わせて「ムギュッ・・・」と音を立てる革ジャンには独特の匂いがあり、一年のうち革ジャンを着るのは冬場の間だけなのに私にとってのHさんの匂いといえば革の匂いだった、つまりはHさんの体臭のようなものだ。
不思議なことにHさんと出会うまでは革製品の匂いを嫌っていたのに、Hさんと出会ってからはそういうこともなくなった、好きな人の匂いならば嫌な気がしないということなのだろう。
逆に、普段は好きな匂いだが、嫌いな人から漂うそれはきっと臭いと感じるかもしれない。
今日の営業のたまちゃんも初日こそはタバコ臭いなと思ったものの今はまったく思わない、既に親しみを感じている相手だからであろう。
私自身については「何の匂い?」と訊かれたことがある、友人と一緒の時に嗅いだことのない薬品臭のようなものが私から漂ってくるというのだ、自分ではまったく意識していなかったが衣類に匂いが染み付いていたのだ、匂いの正体は「はんだ」、プリント基板にはんだ付けをする時の針金のようなあれである、一時期古いアナログ回路を組むのに没頭していた時期があり必然的にはんだを使う機会が多く、はんだごてで溶かす際に立ち上る微かな煙の匂いが部屋に充満していたのだ、友人の言う薬品臭とはそれだった。
今はといえば・・・なんだろう、せいぜい洗濯洗剤の匂い程度か、まあ、夏場なら確実に汗臭いだろうけれど。
どんな匂いにせよ気にならないか、いい匂いだなと思える人と出会えるならば幸いである。
そして私はなるべく無臭であろうと努めている、仮に多少汗臭い時期でも気にしない人と出会えればそれもまた幸いである。