2017年11月1日水曜日

長音3回

午後7時前のこと、部屋でゴロリと横になっているとベランダといわず、台所や玄関からも大きく低い汽笛が聞こえてきた、「ボーーーー・・・」を3回繰り返す長音3回である。

これは周囲の船に自船が航行中であることを知らせる合図だったと記憶している、霧で見通しでも悪いのだろうか、いや、ベランダから外を見る限り霞んでなどいない。

それよりも久しぶりに耳にした汽笛はここが博多湾に沿う海に近い場所であることを思い出させた、そう、元実家町内など昔はすぐそこが海岸だった場所である、今は埋立地が広がり海は少しだけ遠くなったけれど。

実のところ博多湾にどういった船が入ってきているのかはよく知らない、ただ、最近は大きな客船が度々やってきているようで市内で買い物をする外国人の一行を目にする機会は増えた。

それと、いつも私が利用するディスカウントストアには何故だかロシア人が多い、ロシアからの船が入ってきているのだろうと思っていたのだが、カートに積んだ品々の中には福岡市指定のゴミ袋や焼肉のタレなども混じっていたのが妙に私たちの日常のままに生活臭くて市内在住のロシア人なのだろうかとも思ってしまう。

ちなみに、なぜそれらの外国人がロシア人であると思っているかはカートを押してレジに並んでいる最中にスマホで話をしていたその女性が通話の中で「да」と言ったからである、日本語の「はい」だ、そしてその女性の後を追ってやって来た男女2人と普通に話をしているので「да」が通じる同じ国の人=ロシア人だという単純な理屈だ。

なのでロシア人であろうという推測は間違っているかもしれない、「да」に聞こえたけれどもっと違うスラブ圏の言葉という可能性もある。

だが、いいのだ、ここではロシア人ということにしておこう。

長音3回の船はどうしているのだろう、湾から出て行ったのだろうか、入ってきたのだろうか、こうしている間にも博多湾には船が行き来しているだろうなと思う、なにせ博多湾からの船といえば対岸の能古島や志賀島までか、もっと遠くへは壱岐までのフェリーが1度だけという具合で船は日頃からあまり縁の無い乗り物だが、今宵のようにたまに聞こえる汽笛に福岡と博多の街が海路で開けた街であることを思い出すのだった。