2017年11月10日金曜日

チキン南蛮は腿か胸か

掲示板から料理レシピのコメント欄まで、ことあるごとに登場したチキン南蛮に使う鶏肉の部位論争、腿肉派と胸肉派のあい対する意見のやりとりは面白い。

そんなネット越しの論争が姉のところにやってきた、戦うは姪っ子と甥っ子だ、姉弟で譲らないのだ。

日も暮れた頃に姉のところへ行くと晩メシのおかずで唐揚げを揚げていたのだが、なぜか今日は姪っ子と甥っ子が来ていて台所のイスに腰掛けて晩メシを作る姉の後ろ姿を眺めていた、そこでチキン南蛮の話が出たのだ、腿肉で作るか胸肉のほうが好きかというものである。

ただの好みを口にするだけならサラリと流して終わっていたはずだが、甥っ子の余計な一言が火を付けたのだ、姪っ子が「胸肉だとキシキシした感じで硬いしね」に対して「火の通しすぎなんだよ、ヘタクソ」という返しの「ヘタクソ」の部分、これにカチンと来たのだと思う。

姪っ子の目は明らかに「あんたが料理のことで口を出すのか」というものだった、甥っ子の言い分としては甘酢やタルタルソースと一緒に味わうのなら淡白な胸肉のほうが合っているというもの、なるほど、私もそう思う、今回は甥っ子に賛成だ、私もチキン南蛮ならば胸肉のほうが好きである。

だがこの戦いは姪っ子と甥っ子のものだ、私は私の好みを口にして2人の邪魔をしてはいけないので傍観することにした。

姪っ子は腿肉のほうがジューシーでコクがあって断然美味しいという、そこで甥っ子が追い打ちを掛けた、なんと、味覚が貧しいので胸肉の美味しさが分からないのだろうと言うのだ。

ムキになりかけた姪っ子、なぜだか余裕の甥っ子、いやはや、見ていて飽きのこない面白い姉弟である。

戦いの結末を知りたかったが私は仕事場で仕入れた富有柿を持って来ただけなのだ、時間もないのでそこで帰ることにした、「あら、一緒に食べて行かないの?」と姉は言ったが私も晩メシは既に用意しているのでお茶だけもらって帰って来た。

チキン南蛮か、私は柔らかく揚げた胸肉のしっとりとした歯ざわりと淡白な味わいが合っていると思う、姪っ子と甥っ子のやりとりを聞いていてなんだか食べたくなってきた、誰にでも作れる料理だが実は細かい工夫で作り手なりの独自の味が出せる料理でもある。

私はタルタルソースにらっきょうを刻んで入れるのが好きだ、漬け汁も少量入れる、人によっては梅干しをペースト状にしたり刻んだレモンの皮を入れるという人もいる、いろいろとアレンジができる手軽で美味しい料理だなと思う。