2017年6月21日水曜日

約40年前の名作ドラマ

WhatsAppで北海道に住む友人としばらく話をした、その話の終わりがけにこれから何をするのだと訊くと録画していたドラマを見るのだと友人は答えた、なんのドラマなのだと更に訊けば「あかんたれ」だと久しぶりに聞くタイトルが返ってきた。

・・・「あかんたれ」! 10年近くは前になろうか、こちらでも深夜帯に放送され、その時間帯で全話終わると今度は昼前の時間帯で再び放送された長編連続ドラマである、本放送は昭和51年というから相当古い、ちなみに原作は花登筺の「土性っ骨(どしょうっぽね)」、ドラマの制作は東海テレビ。

その本放送の放送時間帯は学校なので見れなかったが、現在に至るまでもう何度も再放送されているので私は成人してからの深夜帯でほぼ全話を見ている、「あかんたれ」と「続あかんたれ」の両方を。

古いしきたりに支配されている社会そのものが閉鎖的な時代が厳しく辛い人の世であったとしても、ふとした人情の温かさにハッとさせられるこのドラマに釘付けになったものである、前述の通り昭和51年に放送開始された骨董品のようなドラマであるが、今もなお日本のどこかで放送されているということは物語と番組の質の高さの証なのだろうと思う。

そうか、今は北海道で放送されているのか。

家族の業や数奇な人生を描いたドラマは数あれど、私はたとえば「おしん」よりもこちらのほうが好きである、腹わたが煮えくり返るようなエピソードや登場人物は多いが、蔑まされても土性っ骨で乗り越えて行く様は見ていてこちらの背を押されるか尻でも叩かれる気がするのだ。

これは名作だとはっきり断言する。

劇中に登場した役者さんで既に他界された人もそれなりにいる、糸茂役の小沢栄太郎、山中作造役の谷幹一、そして大番頭役で登場した石井均などである、ああ、なんという個性的な面々だろう。

このドラマの舞台は大阪の船場、そこでの人たちが使う言葉は大阪弁ということなのだろう、私は関西の言葉については疎いので細かい違いはよくわからないが、全編通して使われるその言葉が好きだった、人によっては流麗そのもので、そのなめらかさと切れの良さに聞き入ったものである。

いつかまた福岡でも放送されるだろうか、されるとしたら何度目の再放送になるのだろう、画質も甘く、色も地味で浅いが内容はえぐるように鋭く深いこのドラマを久しぶり通して見たいものだと思う。