外観と周囲についてはそうなのだが中には滅多に入らない、女性向けの店が多いので用がないのだ。
だが、珍しくも午後にそこへ行った、デートなのだ、といっても姪っ子と遅めの昼メシだ、昼メシそのものは別の場所だったのだが、姪っ子が4年と少し前にそこの某店で買ったバッグの内ポケットのファスナーの不具合をみてもらうために上の階へあがったのだった。
そんなファスナーなどどこの修理屋でもやってくれるだろうと姪っ子に言うと、そのブランドのバッグは品質を保つために細部の補修やパーツまで相当長い期間面倒見てくれるのだという、ほほう、さすがに名のあるブランドのものだけに高価だが買った後のサポートもしっかりしている。
フロアは靴にバッグ、そして衣類と大半が女性向けで私には場違いだったが姪っ子が店員とやりとりしている間は待つしかない、私は最初の内はエスカレーター傍のソファーに座っていたのだが、退屈なその間にトイレにでも行っておこうと思い姪っ子に告げた、トイレはフロアの反対側だった。
こんなフロアにも男性用トイレがあるのかと入ろうとした時に小さく「カン!」と音がした、構わず入ると個室から30歳前後の男性が出てきて私の顔をチラリと見て、そして手も洗わず出ていった、うわ、汚い奴だ、先ほど聞こえた音は個室の鍵を開ける音だったのだな。
ところが、その同じ個室から少し年上そうな男性が続いて出て来て、同じように私をチラリと見て顔を伏せ気味にし逃げるように出て行った。
・・・むむむ、そういうことなのか、障害のある人を介助するのならトイレの入り口付近にもっと広くて使い勝手の良い専用の個室があるのでそちらを使うだろうし。
年上は「先に出なさい」と譲ったのか、たまたまそういう順番になったのか、いずれにせよ気まずい思いをしただろう、それは先に出て行った年下よりも、同じ個室に過ごしていたことを悟られた2人目のほうが上だ。
かなり昔のことを思い出した、今はもう別の場所に移ったデパートの何階かの男性用トイレがハッテン場になっている時があって、ある日それを知った知人の某氏が興味本位で行くとまあまあ好みな中年がいたので誘って個室に入りお互いの手で楽しんだ後で脅されて、逃げ出そうとしたところで親指の付け根をケガをしたのだった、たしか2針縫ったのではなかったか。
逃げるのに必死で何かで切ってしまったのか、それとも相手から切られたのかは全然覚えていないとのこと、危険な輩はいろんな形で人々の中に潜んでいるものだと強く思った。
だが、エロ根性に駆り立てられた懲りない某氏はしばらくの後に別のトイレに行ったのだが、先日の危険な中年男が自分より先にそこへ入っていくのを見て慌てて引き返したという。
インターネットなど言葉さえ無い、まだパソコン通信すら珍しかった頃の話である。
閑話休題。
今日の2人は他にそのトイレを利用する男性客が少ないのを知っていてそこを選んだのかもしれない、もしそうであればリピーターということか、うわー、商業ビルのトイレはそういう目的で使用するものではない。
「個室から変な物音(声)が!」などと通報されでもしたらおおごとである。