2016年12月12日月曜日

万引きGメン

夕方、いつも行くディスカウントストアは例のごとく客でごった返していた、レジも忙しいしカゴやカートを集める店員さんも全く休む間もない。

売れ筋の商品以外でも棚が寂しくなれば次から次に補充はされているがなかなか追いつかない、多い買い物客と品出し後の段ボールで通路はいつも以上に狭かった。

カートを押していた私は今日もまた見掛けた人がいる、客ではない、間違いなく保安員で万引きの監視をしているのだと思う、昼過ぎに行っても、夕方に行っても、たまに午前中に行った時もそこにいる、一見すると買い物中の客のようだが1日中いるのは変だし、今までにレジに並んでいたり精算後のサッカー台で袋詰めをしているところなどを見たことは無い。

なにせ腕に提げているカゴの中身に特徴が出ている、なま物は決して入っていない、野菜や豆腐などもである、入っているのはカップ麺やスナック菓子という場合がほとんど、なにより、カートにカゴと一緒にバッグなどを置くか腕に提げた怪しそうな人を監視している、傍から見てもあからさまだと思えるほどだ。

その保安員を「A」とするなら、別の保安員の「B」もいる、両者ともに男性で年の頃は50代といったところ、「B」のほうが若干上で監視のしかたも更に露骨である。

結局は2人とも万引きの現場を押さえるという点に於いてはヘタなのかもしれない、そんな行動が故に保安員であることが容易く推察されてしまうからだ、ただ、逆に「監視しているのだぞ」と知らしめるという意味では抑止力にはなっているのかもしれない。

私は1度だけ「B」に監視されたことがある、「なんだこのオヤジは」と思うほど接近しては後を着いてくるのだった、財布でも盗もうとしているのではないかとひどく警戒したのを覚えている。

そうか、保安員か、ならば問題ない・・・と、後になってその時のことを納得しそうになったのだが、私が怪しく見られたのだということも気付いて可笑しくなった、まあ、畳んだ帆布製のトートバッグをカートの下に置いて店内をうろついていたのでそう見えたのだろう。

もちろん今ではスルーされている。

もしかして「C」もいるのではないか、私はいるかもしれない3人目の存在を買い物の最中に探している。

もしいるとするなら、保安員の気配など微塵も漏らさぬプロ中のプロというのはどうだろう、私は気付かぬまま既に幾度となく混んだ店内で擦れ違っていたりするのかもしれない。

そして目線を向ける先を追われ、手先の動きを注視され、「あ、豆腐をカゴに入れたぞ」などと思われたり、それでいて今はやはりスルーされていたりと。

どうだろう、果たしてAとBだけだろうか、それともCも加えた3人でシフトを組んでいたりするのだろうか、そんな仮の話の上の人の存在を確かめようとさりげなく探すのも良い品を安く買えるのとは別のちょっとした楽しみである。