姉の隣の家で蛇の抜け殻が見つかったらしい、場所はエアコンの室外機の足場になっている穴あきブロックの裏側だという、大掃除の時に見つかったもので、姉は夕方に「ほら!」と長さ20cmほどの蛇の抜け殻を見せられたらしい。
隣の娘さんが指で摘んで見せてくれたそれは透けるように薄くサラサラと乾いていて不潔な感じは全くなかったが触る気はしなくて見ただけだと姉は言う、何という蛇だと思うかと私に訊くのでアオダイショウではないかと答えた。
人の暮らしに寄り添って生きてゆけるのはそれ以外のヘビでは何がいるのかを私は知らない、シマヘビやヒバカリ、ジムグリ、ヤマカガシなどは自然の中でないと無理だろう。
その抜け殻が手元にあれば胴体一周で鱗がいくつ並んでいるかで判別できるのだが、・・・アオダイショウなら23か25だ。
隣の人は家の中に潜んでいるのではないかと疑っているらしく夜が怖いそうだが、抜け殻を見つけるまでは真夏でも平気で安眠できていたのなら今更怖がるのは変な話だ、夜中に首を絞められたわけではなかろう。
姉に「うちに蛇がいたら怖いか」と訊くと怖いと答えた、まあ、確かに、喜ぶ人はいたとしてもごく少数だろう。
盆前に掃除をした時は無かった抜け殻、それから年末の今の間に脱皮したということになる、都市部の住宅地ながら近くにはそれなりに緑もあるし夏の雨の夜にはどこにいるのかカエルだって鳴いている、ヤモリやトカゲだって壁に張り付いている、餌になりそうな生き物はそれなりにいるので・・・やはりアオダイショウだろう。
私はミミズは気持ち悪くて触れないが蛇は平気だ、最後に見掛けたのはいつだったろうか、もうはっきりとは覚えていない。
「蛇って鳴くの?」と再び姉は訊いてきた、どうだろう、威嚇で音を立てる種類がいるのは知っているが鳴くことはないような気がする、そういう音を発する器官を持っていないのではないか。
私がそう言うと「鳴けばかわいいのに」とポツリ、ううむ、それはどういう発想なのだ、私にはよくわからないけれど。