2016年6月17日金曜日

飛行機雲のひととき


夏がこのまま推移し、極端な荒天もやって来ず、そして秋になってしまえばいいのにと思った瞬間だった、仕事を終えて帰宅する途中の午後の街の中でのこと。

現実には水が欲しいので雨にも降ってもらわなくては福岡市はたちまち水不足に陥って困るのだけれど、とにかく今日はジットリとした陽気は後回しにして汗まみれな日々を考えるのはやめた、それくらい今日は気温もそこそこの夏日で上げ止まり、汗が滴るような暑さは全くなく、そして風も乾いてまことに涼しい一日だった。

梅雨前線は南下して福岡には青空が広がったのだが、高気圧が張り出してくるにつれ風の通り道が変わり始めているのか空には飛行機雲の筋がくっきりと伸びていた、天気が下り坂に向かうと目立つ雲である。

町名が変わる境目あたりの小さな公園で空を1枚パチリ、近くの木陰の長ベンチには2人の女性と小さな子供が1人、皆でどこかで買ったパン(サンド?)を並んで食べながら「何を撮っているのだろう」という顔で私と同じ方角を見上げていた。

公園を離れて橋を渡って実家町内へと入ったところで道を尋ねられた、目的の場所はすぐそこで見えてはいたが、古い建物で目立たないので判り難かったのだろう、そこですよと指を差して会釈で別れた。

昭和通りを渡って明治通りまで縫って歩く裏通り、今日はなんだか車も少なめでゆったりと走っているような気がした、帰路に着いているはずだが散歩しているかのような雰囲気が楽しかった。

帰宅後は軽く部屋の掃除をし晩メシの米を研いでタイマーをセット、おかずは作り置きのものを解凍するだけにしようと冷凍庫から幾つか取り出した。

あとはしばらくゴロリ、開けっ放しのベランダからは相変わらず乾いた風が心地よく、いつの間にか転寝してしまった。

ああ、平和だなと思う、少なくとも今日は時間や仕事に追われることもなく、ただ自分のためだけに時間を使ってしまえば良いのだから。

もしこれが一転して忙しい時期の荒れた天気の日だったらと想像すると可笑しくなった、出るのはのんびりとした欠伸などではなく疲れ気味の溜息かもしれないな・・・と。

飛行機雲を見上げたひとときから、特に何をするわけでもない宵の内まで、今日はそんな午後だった。