私の仕事が暇になる原因といえば、筆頭で台風、次点で大雨、他は雪と今日のような酷暑が並ぶ、まあ飲食業に限らずどの業種でもそうなのではあるけれど。
今日、昼食時はそれなりの客足はあったがいつもと違ってそれ以外の時間帯は余裕だった、病院に運ばれる人がいるほど暑ければ外出して食事などしたくなくなるのもよく解る。
地下道でつながっている場所でないうちは暑さの結果として客足が減る。
窓から見える表は眩しくて暑い、が、今日は室内も暑い、調理場も空調を入れてはいるが熱源が多いのに加えて外が外だけにほとんど効かない、3度目の着替直前に何気なく首元を触ればザラリとする。
冗談のようだけれど汗から塩が析出しているのである、自分でも笑ってしまった。
そのせいか従業員用に冷やしている緑茶と昔ながらの塩分の梅干しとの組み合わせがとても美味しい。
休憩時間に合わせて通用口から食材卸業者の営業さんがやって来た、折りたたみのイスに腰掛けて営業さんも休憩してゆくのだ、 歳は私と同じくらいか、今年の梅雨は大雨にならなくてよかったなどと話をした流れで祖父から聞いたという話をしてくれた。
長崎出身のその営業さん、まだ小学生の頃に大雨で大水害が起き、土石流か鉄砲水に流された近所の人の捜索で漁師をしていた祖父が船で港の外に出たところ、浮いていた亡骸がぷかぷかと船の方へ漂ってきたという。
船を寄せて引き上げていると逆の方からも一体寄ってきて、それとはまた逆の方向からも寄ってきたのだという。
潮の流れとは関係なく船のほうへ集まってくるのを感じたという、亡骸は引き上げて欲しくて漁師の船へ寄ってくるらしい。
そんなこともあるのか、暑さを忘れてヒヤリとした休憩時間だった。