小学生の頃、帰宅後にすることと言えば晴れていてばカバンを放り出して遊びに行き、雨ならテレビでアニメだった、まず先に宿題というのは記憶にない。
アニメも当時は塗り絵のような色調のものばかりだったかどれも独創的で面白かった、その中でもとりわけ好きだったのがトムとジェリー、そこには体験したこともないアメリカの生活が普通に描かれていて新鮮だった、その点、無理やりアメリカ風に模した魔法使いサリーのお屋敷での生活とは根本的に違うのだ。
このアニメがなかったら知るにはもっと時間がかかったであろうものが3つある、オリーブの実とバーベキューとカルメン・ミランダ。
トムとジェリーがご馳走が並ぶテーブルや冷蔵庫でドタバタする際に描かれている楕円形の食べ物、あれは何だろうと思って調べて初めて知ったオリーブの実、見たこともないのだから食べたことも当然ない、当時海外からの食料品などを取り扱っていた呉服町の明治屋で探してみれば瓶詰めのそれを発見、親にせがんで買ってもらい嬉々として食べてみたものの不味くてがっかりした思い出がある。
そしてバーベキュー、大きな肉のようなもの・・・「ようなもの」ではなく肉なのだが脚のある器具で焼くというシーン、またもやあれは何だろうと思って中洲の玉屋というデパートで探してみたら現物は無かったがテントを売っている階のレジ近くにある取り寄せ用の商品カタログで発見、「野外専用バーベキューコンロ(豆炭使用可)」と書かれていた、値段はいくらだったのだろう、そこは見ていない。
3つ目のカルメン・ミランダ、邦題で「赤ちゃんはいいな」という話の歌のシーン、トムをからかう悪ネコのうちの1匹が誰かをマネて歌うのだが、それがカルメン・ミランダだった、ずっと誰のマネなのか分からなかったのだが日曜夜の映画放送でそれが判明、けばけばしい装いに笑ったものだ。
NHK-BSで「新トムとジェリー」が放送されている、トムとジェリーの後期に作られた人権や教育に配慮した作品も放送されているがどれも面白くない、そもそも、初期のものを観たからといって子供はグレたりしない、グレるのはもっと他に原因があるのだ。
そうでなければ私の子供時代など全員不良だったに違いない、確かに悪さをする子供もいたが自分で加減のできる子ばかりだった、明らかに自分より弱い子を虐めるというのは恥だったので決してしなかったし。
トムとジェリーが教育に悪いという人は多いらしい、暴力的で、人種差別的で、酒や煙草に遠慮も無いので子供に悪影響を与えるらしい。
では昨今のテレビ番組は教育に良いのかと言えばそうではないと思う、どれも下らない刹那的なものばかりで見ていると頭が悪くなる、ニュースなど偏向報道ばかりでうんざり。
私に子供がいればトムとジェリーを見せることに躊躇などしない、一緒に見て笑って過ごすに決まっている。