不思議な人がいる、情に厚い優しい男だ、真面目でよく働き誰もその男のことを悪く言う人はいない。
その男には好きな中年男がいる、ほぼ片思いだ、「ほぼ」なのは中年男がいまひとつ本気になってくれないので一応逢いはするがはっきりと付き合っているとまではいかず、結局は片思いの域を出ていない、片思いに毛が生えたくらいの程度なのでほぼ片思いなのだ。
なんとか自分に引き寄せようと料理や服装などいろいろと考えて実行はしてみるのだが、中年男は自分の嗜好に合わなかったりオーバーヒート気味な男の様子に引いてしまったりでうまくいかない。
挙句に「そんなに頑張られると逢いにくくなるんだが・・・」と言われる始末。
ことごとく裏目に出てしまうのは何故だろう、まるで逆神だなと考えているうちに段々と面倒臭くなって頑張るのを止めてほったらかしにしたところ皮肉なことに中年男は安心して以前よりも気張らず逢えるようになりその回数も増えたのだという。
本人が言うには「無理をしない感じがいいのではないか」。
なるほど、本当に逆神かもしれない、狙うと思い描いたものとは逆の展開に流れてしまい、その逆に沿うと予想外に理想に近付けるあたりがそう思わせる。
いろいろと好きな中年男のために頑張りたいのだけれど、これからはそんな気持ちをグッと抑えて控えめな関係を長く維持できればいいなと思っているらしい。
いわゆる「細く長く」か、・・・うん、その気持ちは理解できるし、長く続いて欲しいなとも思う。
ところで、このブログを読んでいる人は「逆神」をどう読むだろう、「ぎゃくがみ」だろうか、「ぎゃくしん」か。
私は以前から「さかがみ」と読んでいて検索すると少数派だった、少し驚きである。