2018年5月12日土曜日

見た目の話だけではない

晩メシは手抜き・・・どころか外食で済ませた、自宅からの散歩コースにある天ぷら屋だ、時刻は午後5時を過ぎた頃でそこそこ客は多かった、いや、私が見る限りいつ行ってもその店は客が多いのだ、席が空くのを待つ客が窓際の長ベンチに座って待つのだが、ざっと見ても20人ほどの待ちだった、当然私もその右端に座り、左端から順に空いた席へと誘導されるに従い徐々に左側へとシフトした。

そんな待ち時間は食ってる客の後ろ姿や足元の様子、利き手がどちらかなどを観察しているので退屈はしない、そこでふと気になったのが箸使いだ、明らかに変な人がいる、それも数人はいるのだ、1000人中の数人ではない、待ち客の数よりはやや多い50人ほどが揚げ場を囲むようにズラリと並ぶカウンター客での数人だ、その店にはテーブル席は無い。

人差し指を立てたような感じで右手で箸を握る男の子がいた、まだ小学生のはずだ、男の子の右側には父親がいて、左端にはたぶん母親であろう女性がいた、母親は「たぶん」なのに父親ははっきりと断言できるのは顔だ、男の子は父親をそのまま昔に戻したような顔だ、眉毛の太さや角度もそっくり、あの2人は誰が何と言おうと親子だ。

さて、その男の子はカウンター席に点々と置かれている無料の大根の煮物を茶碗の上で食べようとしているのだが箸からツルリと滑り落ちてしまうのでなかなか口へと運べない、見ていると箸で摘むというよりは鋏でチョキチョキと両側から挟むような感じなので箸の間から大根が滑って逃げてしまうのだ、何度か試してみたもののどうやっても摘めないので男の子は箸をブスリと大根に突き刺して口へと運んだ。

隣の父親はそんな様子を見ていたが取り立てて何をいうわけでもなく、先に食い終わっていたので爪楊枝で歯の間を突いていた。

箸使いの悪さは見た目が不格好なだけの話ではない、小さなものや滑りやすいものを上手く摘めないのだ、なので男の子のように突き刺したり、器の手前に引き寄せた上で口を寄せて箸でかきこむような食べ方をするようになる、こういう食べ方はポロリとこぼしやすい。

昔だったら「箸使いの悪さで親が知れる」などと言い家の恥だとされていたので正しい使い方ができるよう厳しく教えられたものだが今はそうでもないのだろう、それどころか箸使いの悪さを指摘することに対する反論も多いようだ、私の祖父や祖母がこの現状を目の当たりにしたらどうだろうと想像してみる、他人事ながら恥ずかしさで顔を真っ赤にして嘆いたかもしれない。

「矯正ができるのは子供のうちだけ」という説もある、長年続けていた自己流の箸使いは大人になってからだと矯正は難しいという意見だ、でもそれは本当だろうか、「お前の箸の持ち方は猿のようだ」と食事会の他メンバーから指摘をされて恥をかいた40代の知人が2週間ほどで矯正したのを知っている、なので子供でなくとも矯正は難しくないと考えている。

自分の箸使いが変だと感じたことがあるという人はネットにも正しい箸使いについての解説等はあちこちあるようなので一度検証してみてはどうだろう、そして必要ならば矯正してみるのだ、意外とあっさり正しい箸使いは身につくかもしれない。

正しい箸使いだと1粒の米粒から短冊切りの山芋、そして丸い里芋までちゃんと摘めるようになるのである。