夜更けに話をした、相手の飼っている犬の話がしばらく続いた、犬には疎い私にとっては初めて聞くような知らぬ話が多くてとても興味深かった、特に犬はみかんを食べるという話、考えてみれば雑食性なので食べても不思議ではないが、犬が食べそうなもののうちみかんは思い浮かばなかった。
犬を病院に連れて行った話、日頃の行動の話、どれもが面白い。
私はその人が飼っているという犬種について知りたくてネットでいろいろと調べてみた、テキストでの解説以外にもYoutubeでの動画もあったので幾つかを見てみた、なるほど、今まで見たことがある犬だったが、個体差なのか細かい種類に分かれているのか個々の差異を見つけたりで動画を楽しんだ。
Youtubeの画面には関連動画の候補が並んでいた、ざっと眺めて「おや?」と思うものを見つけたので見てみると、何かの番組からの転載のようで海に行くからと動物管理センターに猫を預けに来た家族がそこでは紹介されていた。
なんと、海に行きたいのだが猫がいると行けないので預けに来たという、この場合の「預ける」とはペットホテルに預けて後日引き取りに行くというものではない、言い方こそ預けるというものだがつまりは捨てに来たのだ、捨てられたペットは新たな貰い手が見つからない限り殺処分される。
猫を預けに来た家族はもちろんそのことを理解している、解せないのが海か猫の二者択一で海を選んだ家族なのに子供らは別れ際は泣いているのだ、泣くくらいなら海ではなく猫を選べと思うし、そもそもそんな子供に選ばせる親も間違っている、子供が猫を手放しても海に行きたがったのなら本当に大切なものが何であるのか、そしてペットを飼う責任について諭すのが親のあるべき姿なのではないか。
人間のレジャーの都合で捨てられるペットはたまったものではない、正直なところその動画を見ていると腹立ちから気分が悪くなった。
そこでまた夜更けに犬の話をした相手のことを思い出した、以前は今と同じ犬種の犬を飼っていたのだが、それが大往生で死んでしまい、相当落ち込んだ後の今の犬である、ペットではあるが家族なのだと認識し、餌や病気など健康管理に気を遣い、何かおかしければ曜日や時間に関係なく動物病院へ連れて行く、もちろん相当な額の出費も厭わない。
日頃の犬のエピソードを聞いていると相当な愛情を注いでいるのがよく分かる、この人に飼われている犬は幸せだと思う。
ペットは物理的な条件や金銭的な余裕があれば誰でも飼えるのだが、必要なものはそれだけではない、飼い主として愛情を注ぎ寿命を全うするまで責任を持って飼えるのかという点が非常に重要、それまで含めての「飼い主の資格」とは言えないだろうか。
Youtubeで見た動物管理センターに猫を預けに来たという動画、後半部分は先ほどの猫と同じように預けられたハスキー犬の話だった、預ける理由はハスキー犬が重い病気で立つことすらできず面倒を見れないというものだった。
私はそこで再生を止めた、その話の続きはもう分かっている、殺処分に至ったというものであろう。
飼い主の事情はあれど、可哀想で見ていられない。