例年だと4月に入ってすぐの頃に登場していたアダンソン君(「アダンソンハエトリ」というハエトリグモ)、ちらっと書いたことがあるのはおよそ6年前のことである(2012年3月31日のブログ)。
ところが、仕事から帰宅し部屋でゴロリと横になっていると壁の高い位置に黒い点のようなものが見えるのでしばらく眺めていたらジワリと動くではないか、立ち上がって目を凝らしてみるとアダンソン君だった、これは黒い体に白い線が入っているオスだ、ちなみにメスはブラウン一色である。
なんという早さだろう、今年は2月中旬過ぎなのか、室内の高い位置には暖房や家電製品などの排熱が溜まりやすい上に今日は気温がそれなりに上がったので春だと勘違いしたのだろうか、動きは鈍く寝ぼけた感じではあるが間違いなく生きたアダンソン君だった。
毎冬この部屋のどこに潜んでいるのだろう、今の部屋に引っ越す前には冬以外にアダンソン君が室内で活動していたのは知っているが、引っ越し先である今の部屋にはゴミのひとつも落ちていない空っぽの部屋で燻煙剤で殺虫処理を施した部屋だったので身を隠す場所もなかったろうに、なので、きっと今の部屋にいるアダンソン君は引っ越し時に家具か何かと一緒にこの部屋にやって来たものが代を継いでいるのだと思っている。
しばらくの後に壁にアダンソン君を探してみると随分と端に移動していた、さらにその後は天袋の近くにいた、冬場はたぶんその扉の隙間から中に入って過ごしているのではないかと思っている。
私はクモを殺さない、古い実家の勝手口に大きな巣を張っていたオニグモや、いきなり天井からポトリと落ちてくる子供の手のひらほどもあるアシダカグモなど母や姉を度々震え上がらせたクモでさえ殺したことはない、きっとなにかしらの害虫を食ってくれていると思っていたからである。
古い一軒家ではないので実家にいたそれらのクモは今の部屋にはいないけれど、その代わりに小さくてピョンと跳ねるアダンソン君がいる、冬眠から覚めるのが早すぎたのに気付いてまたしばらくは姿を消すだろう、本格始動はやはり4月過ぎだと思う。