2016年9月23日金曜日

「トカキリ」

仕事帰りに少し遠回りにはなるが実家町内を通って帰った、そこでよく知っているお宅のお爺さんと娘さんが門扉近くの草をむしっているのを見かけた、進行方向にあるお宅なのですぐ近くまで来た時に声を掛けて挨拶と少し話をした。

娘さんは草むしりの手を遅らせたが休めることなく話をした、そこへ、後ろからお爺さんが「そげなとこ あせくりよったら またとかきりの 出てくるばい」と娘さんに言った、「そんなとこ混ぜ漁ると、またトカゲが出てくるよ」という意味だ。

ちょうど、置いていたブロックの縁に沿って草が生えていて、それをきれいに取り除こうと娘さんが棒(?)のようなもので根っこのあたりをほじくり返していた時だった。

「トカキリ」か、今では全く耳にすることもなくなった言葉なので懐かしかった、博多ではトカゲのことをトカキリと言う、地元言葉も薄れた今では知らない言葉だと思う。

まあ、「あせくる」も知られていないか、忘れ去られていると思うが。

トカゲが出てくるのですかと娘さんに訊くと前回の草むしりの時は腕をササッと登ってきたので怖かったと言う。

そういえばいつだったか、町内会に初参加してくれた広島からの学生さんが皆の前で自己紹介してくれた後で、町内の人が「あのくさ 漢字な どげん書くと?」と紙とペンと持って大学生のところに行ったのだった、大学生の名が珍しい名で、漢字で書くとどう書くのだろうと思ったからであろう。

ただ、大学生には「あのくさ」が解らないので戸惑っていた、標準語では「あのね」や「ほら」に相当する話し掛けの出だし部分である。

通じない古い言葉がひとつ増えると自分の年齢を感じてしまう、つまりは周りが新しくなっていて、まあ、それは時代の流れというもので自然なことなのだけれど。

以前に書いた「すためる」(2015年6月20日のブログ)や「びったれ」(2016年1月8日のブログ)も既に死語であるが、語感から「びったれ」は面白がって使われそうな気はする。

「トカキリ」は1文字多い上に「トカゲ」は「トカゲ」の語感のほうが似合っているので復活はしにくいだろう、だが「びったれ」はいかにもだらしなくて不潔そうな感じがする、ぴったりである。