2016年9月10日土曜日

少女の一言

今夜は食事会だった、場所は中央区内の和食店、友人の車で行った。

個人経営の店にしてはそこそこ広く客席も多い、友人が地元テレビ局の番組で見たので行ってみたかったらしい、今夜は週末ということもあって混んでいた。

6人掛けの席に案内された私たちは5人、すぐさま海鮮鍋を注文し他の品はメニューを見ながらおいおい注文することにした、刺し身と天ぷらの盛り合わせ、各々に茶碗蒸しと煮物を3種、そして2人がビールを頼んだ。

通路を挟んだ隣の4人掛けの席には家族であろう4人、中年の男性と中学生くらい子と小学生(低学年)に見える子は女の子、一番幼そうな子は男の子だった。

鍋を突きながらのんびり食べているとその隣の席から男の子の「あれはなに?」という声が聞こえた、店内には漁船で使う浮き玉や網が飾りとして使われているのだが、その中にタコつぼもあったのだ。

中年の男性が「タコつぼだ、タコを捕まえる時に使う罠、あの中にタコが入ってくる」と説明すると無言ながら「ほほう!」という感じで興味深げに天井付近に飾ってあるそれを見上げたままだった。

数秒の間を置いて少し上であろう女の子が「・・・タコってバカよね」と目線を手元から変えず大皿からゲソの天ぷらを摘みながらポツリと言った。

私と向かいに座っていた友人は噴き出してしまった、が、その4人の席の後側の席の女性も同じく噴き出した、きっとその人も少女の冷めた呟きにような一言に反応したのだろう。

「バカっていうか、まあ、習性だからね」と中年男性が言うと「いいのよ」と返ってくるではないか。

鍋も器もそろそろ空になりかけた頃に隣の4人は先に席を立った、中年男性と中学生くらいの子が先に、その後に例の小学校低学年くらいの女の子、そして男の子と続いたが、男の子が向かいに座っていた中年男性の皿に残った天ぷらを慌てて口に入れたのだ、それを見た女の子は「犬みたいなマネしないの、タケシ、行くよ」と男の子をサラリと呼びつけた。

なんだか頼もしいお姉ちゃんだ、あのクールでマセた口調がたまらない。

私たちはというと、海鮮鍋の具材が生臭いだの、天つゆが足りないだの、食い気全開で楽しんだが、正直なところ料金の割にはいまひとつであった、特に煮物が素人料理な感じがする、不味くはないのだが人には薦められない。

帰宅後、食事会の店までの行き帰りの運転してくれた友人にありがとうとメッセージを送ると「俺達ってバカよね。 いいのよ。」と即座に返信が来た。

ううむ、クールな少女のマネだ、また噴き出してしまった。