2016年8月8日月曜日

違いはセリフ

私はすっかり日本の連続テレビドラマを観なくなった、朝のテレビドラマすらもう観ていない、たまにチャンネルを合わせるか、ためしに録画はしてみるものの、最終話まで辿り着かない、途中で興味を失って観るのを止めてしまう。

そんな具合なので「『とと姉ちゃん』でね・・・」と話題を振られても「うんうん」と頷いて聞いているしかない。

昔はあれもこれもと楽しめたのに、何故今はそうではないのだろう、原作のせいか、脚本のせいか、はたまた出演者か、その要因はどれかひとつではないとは思っている。

そうだ、セリフもそのうちのひとつだ、口調や発話と言うべきか、役者のセリフが流麗でないのだ、それなりの年齢の俳優さんたちのものはすんなり通ってくるのだが、若い俳優さんたちのセリフはちょっと違う、抑揚も含めてタメ口風な口調なのだ、それはいくら文字にした時に敬語になっていても印象としてはあまり変わらない。

そんなせいで観ていると「なんだこの人は」と思ってしまうのだ。

時代背景がごく最近の現代劇ならばそれも良いのだろうけれど、困ったことに昭和とその以前を描く時にも同じように演じられると強い違和感を覚える、「え? 平成と昭和で発話や口調は異なるのか」と思う人もいるだろうが、私は異なっていると思う。

各局が競ってテレビドラマを制作し放送していた昭和50年代頃のものを観てみると感じて貰えると思う。

いつだったか、戦後直後が舞台のテレビドラマを観ていて、登場人物の片方の主張に「・・・っていうか」とセリフを返すもう片方の人物が登場するシーンで一瞬にして興醒めしたことがある、同じ使いかたをする言い回しは昔もあったけれど、今のそれのように相手の意見にそのまま付け足しで被せて否定し自分の意見を主張するというやりとりは無かったと思う、少なくとも私はしたことがないし、されたこともない。

時代が進むにつれ言葉も変わるのであれば、昔を演じる時は変化する以前の言葉も演じてもらえたらと思う、単に外来語の正当性や名詞の存在の有無のみならず、時代考証はそこまで踏み込むべきだろう。