2016年8月6日土曜日

「シン」は何だろう?

映画館でゴジラ映画を観るのは何年ぶりだろう、最後に観たのは大量の魚で恐竜っぽいゴジラをおびき出すという20年近く前のハリウッド版だった、東宝版に至っては45年以上前の「ゴジラ対ヘドラ」だったのだ。

そして今日、JR博多シティの上で「シン・ゴジラ」を観てきた、館内は男性の割り合いが7割ほどと多く、それもティーンなどよりもやや年齢高めと思しき人が目立っていた。

観る直前までは日曜日の朝にテレビで放送されるような変身する子供向けアクションヒーローっぽい映画だったらどうしようという不安はあったが杞憂に終わった。

この映画に登場するゴジラは異形の生き物だった、怪物というよりは妖怪といった登場なのだ、過去の東宝ゴジラのように憎めぬ表情をした着ぐるみゴジラではなく、人情味を漂わせる仕草など微塵もない、劇中では既知の怪物としては描かれておらず、ゴジラ1作目と同じように謎の生き物として扱われていて、それと対峙する人間の戸惑いと恐れが充分に描かれていたのが今だからこそとても新鮮に感じた。

今回書くのは映画の感想ではないのでネタバレ回避のためにあまり細かくは書かないが、映像技術といい、物語を地味な側で通しきっていたことにリアルな緊迫感が出ていて大変良かった。

ゴジラ登場で描かれる政府や民衆の関係の齟齬も興味深かった、ゴジラ1作目の背景が水爆実験だったように、このゴジラは3・11なのだろう、どちらも社会は混乱と麻痺を来し、疲弊した人たちが逃げ惑うパニックは共通している。

良い意味で予想を裏切られた映画だった、監督についての予備知識は「エヴァンゲリオン」なのだが、この映画については上手に作ったのだと思う、観に行って良かった。

それにしてもラストのあれは何だろう・・・そこに見えているものは何なのだ、怖い。

詳しく書けないのが残念だが、これから観に行く人はラストまで気を抜かずしっかり観てきて欲しい。

それと、タイトルの「シン・ゴジラ」の「シン」は「新」なのかと思っていたのだが、観終わってみるともっと別の意味があるのだと解釈した。

では、何なのだろう? 八百万の神のうちの「神」なのか、干支の中で唯一架空の生き物である竜の「辰」なのか、この点も観た人それぞれが考えて欲しい。