2015年6月8日月曜日

リギル・ケンタウルス

いかにも梅雨といった感じで雨が降っている、風は弱めで向きも違うのでベランダを開けていても室内まで雨が降り込んでくることもない、時折プランターの縁の部分に当たる雨粒の音がポツリと聞こえるだけ。

そんなベランダ側に足を投げ出してスマホで友人と話をしていた、平日にもかかわらず友人は沖縄にいる、仕事なのかと訊けば半分は仕事だと答えた、半分仕事とは何なのだ、まあよい。

梅雨前線が九州南部まで北上したので逆に沖縄は天気は回復し夜空に星が見えていると言う、友人もまた宿泊先のベランダ近くにいるのだ。

現地の人から教えてもらったという南十字星をそこから探して南の水平線の上であろう場所にかろうじて見つけたと報告してくれた、全体はもっと南に行かなければ見えないが。

私は今までに1度しか見たことがない。

友人にもうひとつ探してごらんと言ったのはすぐ隣で明るく輝いているだろう星「リギル・ケンタウルス」、以前なら「アルファ・ケンタウリ」と呼ぶほうが一般的で、南十字星と同じくやはり沖縄を含めた南に行かねば目にすることはできない星で太陽系から最も近くにある恒星。

唯一の沖縄旅行をしたまだ若かりし20代の頃に、先に書いた南十字星の時に合わせてこの肉眼でしっかり見てきたのだった。

「風がむっとして暑い」・・・、そこは夜なのに28度もあるという、友人は蒸し暑い海からの南風吹く沖縄の夜を楽しんでいる、明日は仕事が早めに終われば泳ぎに行くらしい。

「そんな明るい星は見えないよ」と友人は言う、南十字星を見つけられたので簡単だと思ったのだが、もしかすると南十字星だと思って見ていたそれこそがリギル・ケンタウルスだったりして。

何万年もの後、誰かがその星を沖縄から南の水平線上に探せばきっとシリウスに迫る明るさになっているはず、かなりの速度でこちらに接近しているのだ、ただ、それこそ天文学的な距離があるので目視の明るさが変化するにはとてつもない時間を要するのだけれど。

そんな明るく輝く頃にまた見てみたかったなと思う、その頃の人類はどうなっているだろう?

「風がむっとする」とまた友人が言った、飲みかけのジンジャーエールのグラスが結露してコルク地のコースターがびしょ濡れだとも言う。

福岡はしとしと雨で気温は21度くらいだ、湿度は高いが暑くはない、友人とは距離にして700kmほど離れている、日本も意外と広いなと思う。