仕事から一旦帰宅し、自転車で少し離れたホームセンターに出掛けたのが午後4時過ぎのこと、JR箱崎駅を過ぎて川の向こう側へ行くのだが、車の多い橋を避けて別の橋を渡っているとコンクリートで整備された川堤に濃い茶色をした2匹の犬がいた。
特に平らになっている場所があるわけではないが腰を下ろした2匹でゆっくり流れる川面をぼーっと眺めているのだ、左右のスペースはたっぷりあるというのにピタリと体を寄せて座る2匹が面白くて私は橋の上から見ていたのだ。
手前の1匹があくびをしこちらを振り返った際に気付いたのだが2匹は犬ではなかった、タヌキだ。
ビルに囲まれた都市部ではなく、公園や川辺の緑など身を潜めるにはかろうじて暮らす条件が揃っているのか2匹がそこにいる、しかも、人の姿を見たからと走って逃げるわけでもない、のほほんとしているのだ。
私のほうを見たタヌキはまた川面に向かってぼーっとしていた、随分と傾いた暮れゆく4月の日差しを浴びながらである。
奥の1匹が川上に向かって歩き出したので後を追うようにもう1匹も動き始めた、スマホで撮っておけばよかったと思いはしたが、すぐにまたいつか見掛けそうだという気もした。
風も弱く、暖かく、車や人でうるさいわけでもない、なんとも長閑なひとときだった。
頻繁にそのあたりに出没するのなら近所の人の中にはてっきり犬だと思う人だっているだろう、私も最初はそうだった。
JR箱崎駅からほど近い、筥松小学校すぐ傍の須恵川に架かる橋の袂でのことだった。