甥っ子がミシンを買った、高級機ではない、あくまで初歩的な使い方に限定した低価格のものだ、甥っ子によると主な用途は裾上げらしい。
そしてその通りに自分が職場で着る制服の裾を短くしたのだった、長さを決めて余分な部分を切り捨て、その切った場所がほつれないように縫い、そして折り曲げて目的の長さにまた縫ったそうだ、ちなみにほつれないように縫うのを絶ち目かがりと呼ぶ。
実際の仕上がりを見たところ制服というよりは作業着のようなその裾はきれいに裾上げされていた、最初こそ時間がかかったがすぐに慣れてあっという間にできるようにもなったとか、ほほう、なかなか細かいことをする甥っ子だ。
ところが、そんなミシンのことを職場で言ったところ「おかま」とからかわれたらしい、今時男がミシンを使うだけでおかま呼ばわりか、随分と古い頭の同僚がいるものだ。
気にすることはない、どんどんやれと言うと料理と同じく相当に楽しんでいるようで自らを「ミシン男子」と言うのだった、どこかで聞いたことのある言い表しかただ、たぶんテレビでだった、最近は男でミシンを使っていろいろと作るのが流行っているというレポートの番組だったか。
いや、私もミシンは持っているし、甥っ子と同じく裾上げで重宝している、手で縫うよりもずっと早くて仕上がりが綺麗なのだ、長すぎて切ってしまった部分がかなりのもので自分の脚の短さに驚愕はするけれど。
最初は自分の指を縫ってしまうのではないかと恐る恐るだったが、慣れてしまえば糸掛けも簡単そのもの、安物だったが名の知れたメーカーの品だし、実際のところ堅牢である、買ってよかったなと思っている。
自ら「ミシン男子」を名乗る甥っ子、良いではないか、どんどん極めてほしい、腕が上がれば多機能で高性能なミシンを買って趣味の幅を拡げてくれたらいいなと思う。