2018年3月2日金曜日

カステラを買わないカステラ好き

デパートの食料品売り場で某カステラ屋の前を通った、ショーケースにはオーソドックスな卵黄たっぷりな黄色いものの他に抹茶やチョコレートといった新しいバリエーションのものが幾つもあった、しかも幅がやや狭いものや予め等分に切ってあるものなど様々である。

私は甘いものが大好きだ、もちろんカステラも、あのしっとりと柔らかい生地の甘味と香りがたまらない。

・・・だが、買わない、もちろん金がないわけではない、今日の店も含めて私の知っている有名店のそれには底にぎっしりとザラメが敷いてあるのだ、私はザラメを噛んだ時の「ジャリ・・・」とした歯ざわりが嫌いである、まるで砂を噛んでいるかのようでもあり、チョコレートを包んでいたアルミ箔も一緒に噛んだ時のようでもあり、ズーンと歯に響くあの感じに鳥肌が立つのだ。

書いていてもゾーッとする。

そんな私ではあるが甘い物が大好きなのだと見抜いたカステラ屋の販売員が「ご試食いかがですか?」と小さく切ったカステラが載った器を差し出して来た、私は試食はせずに「ありがとう」とだけ言って通り過ぎた。

本場の人に言わせればザラメあってのカステラなのだろう、しっとり香り高い生地にはザラメが付き物で、どちらかが欠けても旨いカステラには成り得ないのかもしれないが苦手なものは仕方がない。

その点、私の姉はザラメが平気なのだ、旨そうに食っている。

そんな姉から見ればカステラを横倒しにして底の部分からザラメをほじくり出している私は奇異に見えただろう、ううむ。

カステラには未練を感じつつ立ち去ったが、脳内の甘い物スイッチがONになってしまった私は筋向かいにある和菓子店で蜜漬けの金柑を丸ごと1個包んだ餅菓子と栗まんじゅうを買った、これはこれで大変旨かった。

それにしてもデパートの食料品売り場は何か買い求めなくれはならぬ品がなくても通り抜ける時点で何かの包みとレシートを手に持っている事が多い、旨そうなものが通路の左右に並んでいるので素通りで済ませるのがなかなか難しい。

あの店のあれも、この店のこれも、どれも旨いのだ。