2017年3月26日日曜日

「何でもいいよ」

午後に私用で和白まで行った、地下鉄を貝塚駅で西鉄貝塚線に乗り換えて和白までだ、ここの電車に乗るのはどれくらいぶりだろう、前回乗ったのはまだ「西鉄宮地岳線」という名称だった時のことである。

和白での用件は30分くらいで終わるかと思っていたのだが予想を超えて1時間半ほどもかかった、なので昼メシは自宅に戻ってからにしようと思っていたが遅くなったのでそう離れていない場所にあるファミレスで済ませることにした。

日曜だが時刻が昼メシ時から少しずれていたので客の入りはそう多くなく空いたテーブルにすぐ通された、席についてメニューからセットものを注文し待っていると通路を挟んだ斜め隣のテーブルに男女2人組がやって来た、夫婦か恋人同士か、20代後半か30代前半に見える2人だった。

なんだか疲れていそうな男性に女性が「何にする?」とメニューを開いて差し出すと「何でもいい」と男が面倒臭そうに答える、「じゃ、飲み物は?」と訊けばまたしても「だから、何でもいいって!」と言う、女性は明らかに不満そうに「何でもいいなら何か決めて言ってよ」と言った。

結局、女性が適当に決めて注文し、そのまま2人は黙ったままだった。

私が注文したものが運ばれて食っているところで隣のテーブルの女性が口を開いた、「ねえ、いつも『何でもいい』とか『どっちでもいい』ばっかりだよね?」と男性に不満をぶつけた、男性は知らぬ顔でよそを見ている、それ以降は料理が運ばれて食っている間も黙ったままで、私が席を離れるまで無言のままだった。

男性にすればいちいち訊いてくる女性を「うるさいなあ」とでも思っているのだろうが、こればかりは女性が不満げな態度を取るほうが理解できる、きっと私も「何でもいい」などと言われたら「何でもいいからこそ何にするのかさっさと自分で決めろ」と言うだろう。

逆に「お前もこれを食え」と自分の好きな料理を押し付けられるのもまた嫌なものだが。

私が伝票を手に席を立つと男性は半分ほど食べ残してコーヒーを飲んでいた、そして天井を眺めている、あーあ、男性にとっても女性にとてもお互い不味いメシだったろう。

私は外でメシを食うにも酒を飲むにも誰かと一緒というのは気の置けない人としかしない、たまにSNSで繋がったばかりの相手から「まずは一緒にメシでも」と顔合わせの意味も込めて誘われることもあるのだが応じたことはない、会ってみて気が合わない人だと折角のメシや酒が不味くなるからだ。

そんな席を誰かと一緒に楽しむのなら、普通に笑って話せて、ああ美味しかったと思える相手に限るのである。

帰りは再び西鉄貝塚腺を貝塚駅で乗り換えて地下鉄に乗り最寄りの駅で降りて帰ってきた、行きと違って帰りは人が多くドアの近くに立ったままだったが久しぶりに乗るチープな車体から住宅街を眺めるのは脳内に残る以前の風景と比べたりで面白かった。

帰宅後まもなく雨が落ち始めた、この雨は明日の明け方まで残るらしい。