2017年3月20日月曜日
総天然色
根強いファンがいる円谷プロのウルトラマンシリーズ、私がかろうじて覚えているのは「ウルトラマンタロウ」までだ、それより過去の無印ウルトラマンやセブンはテレビで見ていた、私も好きだったのだ。
だが、これらシリーズには先駆けとなる「ウルトラQ」という番組がある、放送開始は私がまだ2歳ほどなのでリアルタイムで見ていたとしても覚えてはいない、私が全話漏らさず観たのは後の再放送でのこと。
私はウルトラシリーズの中ではこれが特に好きで初回放送から50年ほどを経った今もこうやってNetflixで最初から観ている、デジタルリマスター版で、しかもカラー化されたものをだ、その名も「総天然色 ウルトラQ」である。
カラー化はデジタル技術のお陰、モノクロの時は想像するだけだった風景も色がつくと華やかになり広がりが生まれた、陰影だけの映像の怖さは薄れたがカラーの恩恵は大きいと思う。
この番組を知っている人はどれくらいいるだろうか、私と同じ年代の人なら「ああ、あれか」と記憶のどこかに残っている場合も多いだろうが、年代が下へ離れるに従って減ってはゆくだろう、まあ、BSやCSなどでも再放送されているので皆無ではないとは思うが。
全28話の中で特に印象深いのは4話の「マンモスフラワー」、19話の「2020年の挑戦」、25話の「悪魔ッ子」、そして小山内美江子脚本の最終28話「あけてくれ!」。
ウルトラマンのように怪獣と取っ組み合って戦うヒーローは登場しない、そもそも毎回戦うべき異形の怪獣が登場する番組でもない、描かれているのは怪獣や怪物と対峙する人々の様子もあるのだが人間の暗く歪んだ心の奥底を代弁するようなもので、主体はあくまで人間なのだ。
一話完結の起承転結を30分弱の中に詰め込んでしまわなくてはならないので細かい部分では無理もあるが、それはそれ。
今ではオリジナル音声のままだとたぶん放送も難しいだろう、そんな言葉もたまに登場する斬新で面白く、いろいろ考えさせられる古いがある意味新しいSF番組である。