2017年1月28日土曜日

梯子は今日も降りず


午後5時過ぎ、春のような暖かさとしなくてはならぬ身の回りのことが何もなかったので幼い頃に祖母とよく散歩に出掛けた博多ポートタワーのあたりを歩いた、もっとも、昔は博多パラダイスと呼んでいたのだが。

雲間から赤みを帯びた夕日が差し、博多湾がほんのり染まっているのを見て今日は明瞭な薄明光線が見られるのではないかと期待した、別名「天使の梯子」や「ヤコブの梯子」と呼ばれる現象である、まあ、現象とは言っても雲間から漏れた日差しが筋になって地表や海面を照らしているだけなのだが。

私は以前に長崎の稲佐山からそれを狙ったわけではないが日暮れ時に増えてゆく市街地の灯りを撮ろうと構えていたデジカメで背後の海側にオレンジ色の夕日が海に差し込んでいるのを見付けてパチリと1枚撮ったことがある、青暗く暮れてゆく海を暖かみのある夕日が鋭く照らしているのだ、別名の天使の梯子という名の由来が理解できた光景だった。

それ以来、私は条件が良さそうな日はそんな梯子が降りてこないか探すようになった、だが、稲佐山から7年が経つがいまだにその時ほどの梯子は目にしていない。

雲が多すぎて全天を覆ってはいけないし、少なすぎても日が差し込み過ぎて梯子とは言えない、仕事中は探せないし居眠り中でもそうだ、ぼーっとしていて見逃してしまったことだってあるだろう、とにかく、この7年間はこれだと思う光景に出くわしていないのだ。

今日の福岡の日没は午後5時45分過ぎ、私がのんびり散歩をしつつチラチラと博多湾の空を探していたのはその10分前くらいまでで、今日も梯子は降りてこなかった。

せっかくなので7年前の稲佐山からの画像を載せておく、手前に明るい梯子、遠くに逆向きに降りた梯子、狙わず撮れた1枚である。