2017年1月17日火曜日

いつかは君も通る道

退院から1年と少しが経った友人(2015年12月6日のブログ)、その時から予定されていた脚の再手術のために再び入院している、この手術後にリハビリ期間を無事に終えて松葉杖なども使わずに歩けるようになれば完治ということになるらしい、まあ、定期的に受診はしなくてはならないというが。

術後翌日の見舞いに行った、麻酔もとれて寝たままでちゃんと見聞きもできるので見舞いには問題ないという病院側のお許しを受けてのことだ。

病室に入るといきなり「また焼肉がいい」と言い出す、もう退院の日の食事会の話をするのか、まだまだ先は長いというのに。

ベッドの横に詰所から借りた折りたたみのイスを置いて話をしていると30分ほどで担当医と看護師が手術部位の様子をみますとやって来た、ベッドの周りのカーテンが引かれるのを確認し私はその間談話室に移動した。

暖かくて明るい談話室には車いすに乗ったお爺さんがテーブルの傍にいて、中年の男性がカップ入りのヨーグルトを食べさせていた、その後ろには若い男性がいてその様子を見ていた、中年の男性が「○○、ちょっと代われ」とカップとスプーンを手渡そうとしているのだが嫌そうな顔をするので「○○!」と語気強めに名前を呼ばれた、この2人は親子であろう、車いすのお爺さんは中年男性の父親か、ということは嫌そうな顔をしているのは孫だろう。

中年男性はどこかへ行ってしまった、若い男性は仕方なくヨーグルトをすくってお爺さんの口へ運ぶのだが嫌々しているせいか相手のテンポやスプーンの寄せかたに配慮がない、そのため口元からしょっちゅうこぼれるのだ、何度目かでチッと舌打ちをしてカップをテーブルに置いて若い男性もどこかへ行ってしまった、お爺さんはその姿をただ見ているだけだった。

戻ってきたのは中年の男性、「あれ? ○○は?」とお爺さんに訊いたがお爺さんは黙っていた、テーブルの上のカップから再びヨーグルトを食べさせようとすると「もういいよ、お腹いっぱい、ありがとう」とお爺さん。

いいや、お腹いっぱいではないだろう、食べる気が失せたのだと思う、あれほどあからさまに邪険にされると誰だって気持ちも萎える、たったカップ1個のヨーグルトを食べさせることすら面倒で気に入らないのだろうか、そんな態度なら見舞われた側は体調が悪化しそうなのでもう見舞いなど来ないほうが良い。

若い○○君は気の乗らぬ年寄りの見舞いなどと思っているだろう、だが、幸いにも事故や病気で命を失うことなく生きていれば君だっていつかは通る道なのだ、今は全く意識していないのだろうけれど。

食べ残したヨーグルトとプラスチックのスプーンを捨てに中年の男性は再びその場を離れた、目線をお爺さんに戻すと私をジッと見ていて、私もそのまま見ていた。

処置が終わったからどうぞと看護師が呼びに来たので友人の病室に戻ると脚の包帯が新しくなっていた、術後の様子に特に問題はないということなので私もホッとしている。

帰り際に紙パック入りで飲みきりサイズのリンゴやブドウ、パインのジュースを買ってきてくれと頼まれた、しょっちゅう使うので手指を拭く100円ショップのではない除菌タイプのウェットティッシュを2つと日本製の単4電池も。

いろいろと注文の多い友人である。